夏休みになると、
「作文が苦手なので、毎日書かせた方がよいでしょうか」
と考える家庭があります。
しかし、作文が書けない子に毎日原稿用紙へ向かわせても、同じところで止まり続けることがあります。
何を書けばよいか決まらない。
最初の一文が出ない。
途中で内容が広がらない。
最後が「楽しかったです」で終わる。
この状態で書く回数だけを増やしても、作文への苦手意識が強くなりかねません。
必要なのは、毎日完成作文を書くことではありません。
作文を書くための作業を小さく分け、一つずつ練習することです。
【作文のどこで止まっているかを見る】
作文が書けない理由は、子どもによって違います。
テーマが決まらない。
出来事を一つの場面へ絞れない。
材料はあるが、文章にできない。
詳しく書けない。
順番を決められない。
原因が違えば、必要な練習も変わります。
まず確認したいのは、何文字書けるかではありません。
作文のどの段階で手が止まるかです。
【毎日作文を書く必要はない】
作文が苦手な子なら、完成作文は一週間に一本でも構いません。
たとえば、一回目の練習では、
書く場面を決める。
材料を集める。
二回目の練習では、
順番を決める。
短い作文へまとめる。
という形に分けられます。
毎日10分ずつ進めても、週に二回まとめて取り組んでも構いません。
大切なのは、毎日続けることではなく、家庭で無理なく続けられる形にすることです。
【テーマは、一つの場面まで絞る】
「夏休みの思い出」のような広いテーマでは、何から書けばよいか迷います。
旅行へ行ったことではなく、
ホテルの鍵が見つからなくなった場面。
プールへ行ったことではなく、
初めて顔を水につけられた瞬間。
塾へ行ったことではなく、
授業後に先生へ質問した場面。
というように、一枚の写真のような場面まで小さくします。
思いつかないときは、写真や予定表、持ち物を見てもよいでしょう。
物そのものを書くのではなく、その物が登場した場面を思い出します。
【四つの欄から、書けるものを三つ選ぶ】
「そのときに起きたことを三つ書こう」
と言われても、作文が苦手な子は手が止まることがあります。
その場合は、次の四つに分けます。
場所。
見えた物。
人の言葉。
自分の動き。
この中から、書けるものを三つ選びます。
たとえば、ホテルの鍵を探した場面なら、
場所
ホテルの廊下。
見えた物
赤いじゅうたん。
人の言葉
母が「もう一度ポケットを見て」と言った。
自分の動き
フロントまで走った。
となります。
親が次々に質問して聞き出すのではなく、子どもが書ける欄を選ぶ形にすると、親が作文を作ってしまうのを防げます。
【本人が実際に体験したことを使う】
一文を詳しくする練習では、一般的な例文より、本人の直近の体験を使います。
今日食べたもの。
塾から帰る途中で見たもの。
家族に言われた言葉。
自分が急いでしたこと。
実際に見たり、聞いたり、動いたりしたことなら、材料を出しやすくなります。
たとえば、
「ジュースを飲みました」
を、
塾から帰ったあと、冷蔵庫の奥にあったオレンジジュースを一気に飲みました。
とします。
難しい表現を加えたのではありません。
場所、物、自分の動きを加えただけです。
作文を詳しくするとは、飾る言葉を増やすことではなく、実際にあった事実を足すことです。
【文章は三つの順番に分ける】
材料はあるのに順番が決まらない子には、
最初。
出来事。
最後。
の三つに分けます。
最初には、いつ、どこで、誰といたか。
出来事には、一番書きたい場面。
最後には、そのあとどうなったか。
を書きます。
たとえば、
最初
家族でホテルへ到着した。
出来事
弟が鍵をなくし、みんなで探した。
最後
鍵は弟の上着のポケットから見つかった。
これだけでも、作文の骨組みになります。
最初から起承転結を考える必要はありません。
【感想を無理に作らなくてもよい】
作文の最後が毎回、
「楽しかったです」
になることがあります。
感想が出ないときは、無理に立派な教訓を作る必要はありません。
出来事のあとに、自分が何をしたかを書けば十分です。
鍵が見つかったあと、家族で笑いました。その夜は、鍵を机の上に置いてから寝ました。
このように、具体的な事実で終える方法もあります。
「楽しかった」と書くこと自体が悪いわけではありません。
気持ちの言葉だけで終わらず、行動や会話が一つ入っていることが大切です。
【親は、その日の練習だけを見る】
子どもが作文を書き終えると、漢字、句読点、表現、内容など、気になる点がいくつも見つかります。
しかし、毎回すべてを直すと、作文が赤字だらけになります。
親が見るのは、その日に練習した一項目だけで構いません。
テーマを決めた日なら、
一つの場面に絞れているか。
具体化を練習した日なら、
場所、物、言葉、動きのどれかが入っているか。
順番を練習した日なら、
最初、出来事、最後の順になっているか。
完成作文の日なら、
同じ内容を何度も繰り返していないか。
と確認します。
前回より一つできることを増やす方が、次の作文につながります。
【10分単位で練習を分ける】
作文は、一回で完成させる必要はありません。
テーマを決める10分。
四つの欄から材料を選ぶ10分。
一文を詳しくする10分。
順番を決める10分。
作文へまとめる10分。
毎日一つずつ進めても、週末にまとめても構いません。
「10分で作文を完成させる」のではありません。
作文に必要な一つの作業を、10分で終えると考えます。
【夏休みの練習は、適性検査作文にもつながる】
公立中高一貫校の適性検査作文では、自分の体験を具体例として書く問題があります。
そのとき必要になるのが、
どこで何が起きたか。
誰と関わったか。
自分が何をしたか。
その後、何が変わったか。
を具体的に説明する力です。
夏休みに日常の一場面を、場所、物、人の言葉、自分の動きに分けて書く練習をしておくと、設問に合う場合に、適性検査作文の具体例として使いやすくなります。
ただし、準備した体験を、どの問題にも無理に当てはめるものではありません。
適性検査作文の詳しい形式や対策は、関連記事で確認してください。
【まとめ】
作文が書けない子に、夏休み中、毎日作文を書かせる必要はありません。
大切なのは、
一つの場面を選ぶ。
場所、物、人の言葉、自分の動きを取り出す。
文章を最初、出来事、最後に分ける。
本人の体験を使って、一文を詳しくする。
という作業を一つずつ練習することです。
完成作文は、一週間に一本でも構いません。
親も、毎回すべてを直す必要はありません。
その日に練習した一項目だけを確認します。
毎日長く書かせるより、短い時間で作文の部品を作れるようにする。
それが、作文への苦手意識を減らし、秋以降の記述や適性検査作文にもつながります。
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