夏休みに入ると、保護者の方からよく聞く言葉があります。
「この夏は、苦手科目を何とかしたいです」
もちろん、苦手をそのままにしてよいわけではありません。
算数の文章題が苦手なら、夏休みに立て直したい。
理科の知識が抜けているなら、覚え直したい。
そう考えるのは自然です。
ただし、夏休みの学習を苦手科目だけで埋めてしまうと、かえって子どもが伸びにくくなることがあります。
【苦手科目は成果が見えにくい】
苦手科目は、同じ一時間勉強しても、成果が見えにくいものです。
問題を解いても間違える。
解説を読んでも分からない。
覚えたつもりでも、翌日には抜けている。
そのため、子どもは毎日「できなかった」という感覚を積み重ねます。
保護者から見れば、必要な勉強に取り組んでいるように見えます。
しかし、本人の中では、
「今日もできなかった」
「自分は勉強が苦手だ」
という気持ちが強くなっていくことがあります。
夏休みは期間が長いからこそ、できない感覚も積み重なりやすいのです。
【得意科目を止めると、勉強全体が苦しくなる】
苦手科目を優先すると、得意科目は後回しになりがちです。
「算数はできるから、今は国語だけ」
「社会は好きだから、理科を優先しよう」
この考え方にも注意が必要です。
得意科目は、放っておいても伸び続けるとは限りません。
夏期講習で新しい単元が進んだり、問題の難度が上がったりすれば、得意だった科目でも差は縮まります。
また、得意科目にはもう一つ大切な役割があります。
それは、子どもに
「自分にもできる」
と感じさせることです。
得意科目で正解できる。
先生に褒められる。
予定より早く終わる。
こうした経験が、苦手科目に向かうための気力になります。
苦手科目ばかりが続くと、勉強そのものが「できない時間」になってしまいます。
【夏休みは弱点補強だけの期間ではない】
夏休みは、苦手を直す期間だと思われがちです。
しかし実際には、
- 苦手科目の立て直し
- 得意科目の強化
- 学習習慣の安定
- 秋以降に向けた自信づくり
を同時に進める期間です。
苦手科目だけに時間を使うと、弱点補強はできても、得点源を伸ばすことができません。
中学受験では、すべての科目を完璧にする必要はありません。
苦手科目で大きく崩れないようにしながら、得意科目で点数を取る。
この組み合わせが大切です。
【苦手と得意を一日の中に入れる】
おすすめは、苦手科目だけの日をつくらないことです。
例えば、午前中に苦手な算数の復習をしたら、午後には好きな社会を入れる。
国語の記述に取り組んだ後は、得意な計算や漢字で終える。
このように、苦手科目と得意科目を一日の中で組み合わせます。
特に、勉強の最後を得意科目にすると、
「今日はできた」
という感覚で一日を終えやすくなります。
反対に、寝る直前まで苦手問題でつまずいていると、翌日の勉強にも入りにくくなります。
一日の学習計画は、内容だけでなく、子どもがどんな気持ちで終わるかまで考えて組むことが大切です。
【苦手科目は範囲を広げすぎない】
苦手科目に取り組むときは、量よりも範囲を絞ることが重要です。
「算数が苦手だから、夏休みに全部復習する」
では、計画が大きすぎます。
例えば、
- 割合の基本問題
- 速さの線分図
- 図形の面積
- 規則性の基本問題
というように、具体的な単元まで細かくします。
一度に全部を直そうとすると、何も直らないまま夏休みが終わることがあります。
一つできるようになったら、次へ進む。
この積み重ねの方が、子どもにも成長が見えます。
【親は正解以外の変化も見る】
苦手科目に取り組んでいるとき、親はどうしても間違いに目が向きます。
「また同じところを間違えている」
「昨日もやったでしょう」
「こんな問題もできないの?」
こうした言葉が続くと、子どもは苦手科目そのものよりも、勉強する時間を嫌がるようになります。
見るべきなのは、正解したかどうかだけではありません。
- 昨日より早く取りかかれた
- 途中式を書けるようになった
- 解説を自分で読んだ
- 「分からない」と言えた
こうした変化も、苦手克服の一部です。
苦手科目は、すぐに点数へ表れるとは限りません。
取り組み方が変わり、その後に理解が深まり、最後に結果へつながります。
親が途中の変化を見つけられると、子どもも続けやすくなります。
【まとめ】
夏休みに苦手科目を勉強することは大切です。
ただし、苦手科目ばかりにすると、子どもは「できない自分」を毎日確認することになります。
夏休みの学習では、
苦手科目を立て直しながら、得意科目で自信と得点力を伸ばすこと
が必要です。
苦手をゼロにすることだけを目標にしない。
得意をさらに伸ばし、苦手では大きく崩れない状態をつくる。
そのバランスが、秋以降の伸びにつながります。
カテゴリー:夏期講習・家庭学習
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