中学受験では、学校によって志願理由書や自己推薦書などの提出を求められることがあります。
小学6年生に志願理由を書かせると、どうしても文章は幼くなります。
「この内容では弱いのではないか」
「もっと学校の教育方針を入れた方がいいのではないか」
そう考えて、親が手を入れたくなることもあるでしょう。
今なら生成AIを使えば、整った文章を簡単に作ることもできます。
しかし、サクラサクでは、志願理由書は本人が書くべきものだと考えています。
第一志望でも第二志望でも、それは同じです。
その学校を志望するのは、親ではなく子どもだからです。
志願理由書が書けないなら、まず「なぜ受けるのか」を考える
志願理由書を書くとき、最初から立派な文章を書く必要はありません。
まず考えてほしいのは、
「なぜ、この学校に行きたいのか」
ということです。
校風が好きだから。
やってみたい部活動があるから。
学校説明会で先輩たちを見て楽しそうだったから。
興味のある授業があるから。
文化祭に行って、自分もこの学校に通いたいと思ったから。
小学生なら、そんな理由から始まってもいいと思います。
大切なのは、文章の完成度ではありません。
本人の中に「この学校へ行きたい」という理由があることです。
もし本人が何も思いつかず、親が学校案内を見ながら志望理由を考えなければ一文字も書けないのであれば、文章力以前のところから考えた方がいいかもしれません。
なぜ、この学校を受験するのか。
まず本人がそこを考える。
志願理由書が書けないから、親が代わりに書くのではありません。
書けないなら、まず考える。
それでも本人の中に理由が見つからないのであれば、本当にその学校を目指したいのかを考える機会にしてもいいでしょう。
小学生の文章は、小学生らしくていい
親が志願理由書に手を入れたくなる理由の一つは、
「子どもが書くと幼い文章になってしまう」
という心配だと思います。
でも、小学生が書くのですから、小学生らしい文章でいいのです。
難しい言葉を並べる必要はありません。
学校の教育理念をそのまま引用したような文章にする必要もありません。
例えば、
「学校説明会で〇〇を見て、自分もやってみたいと思いました」
という一文。
大人から見れば、もっと格好よく書き直したくなるかもしれません。
でも、本人が実際に見て、感じたことなら、それは立派な志望理由です。
もちろん、誤字脱字を確認したり、意味が伝わりにくい部分について「これはどういう意味?」と聞いたりすることはできます。
ただし、
文章を一緒に確認することと、親が文章を作ることは違います。
ここは分けて考えたいところです。
AIに志望理由そのものを考えさせない
これからは、親の代筆だけでなく、生成AIとの付き合い方も考える必要があります。
学校の特色や本人の経験を入力すれば、生成AIは短時間で整った志願理由書を作れます。
文章の構成もきれいです。
学校の教育方針も自然に入ります。
一見すると、本人が書いた文章より完成度が高くなることもあるでしょう。
しかし、それをそのまま提出したら、誰の志願理由書なのでしょうか。
AIを使うこと自体が問題なのではありません。
本人がまず考え、自分で文章を書いたうえで、
「意味が伝わりにくいところはある?」
「同じ表現を繰り返していない?」
などと確認するために使う方法はあります。
一方で、
「この学校に受かりそうな志願理由を書いて」
と丸ごと任せてしまえば、本人が考える機会そのものを失います。
AIに文章作りを手伝ってもらうことと、AIに志望理由を考えてもらうことは別です。
面接があるなら、なおさら本人が書いた方がいい
志願理由書をもとに面接が行われる学校なら、書類をきれいに仕上げれば終わりではありません。
「どうしてそう思ったのですか」
「具体的には何をやってみたいですか」
「その経験についてもう少し教えてください」
そんなふうに、志願理由から質問が広がることがあります。
親やAIが作った文章を覚えることはできるかもしれません。
しかし、少し角度を変えて質問されたとき、自分で考えていないことを自分の言葉として話し続けるのは、小学生にとって簡単ではありません。
面接をする側も、提出された文章だけを見ているわけではありません。
その子がどんなことを考え、どのように自分の言葉で話すのかを見ています。
だからこそ、志願理由書では完成度よりも本人の言葉であることを大切にしたいのです。
親がするのは「代筆」ではなく「問いかけ」
では、親は何もしなくていいのでしょうか。
そうではありません。
小学6年生に紙を渡して、
「全部一人で書きなさい」
と突き放す必要もありません。
親にできることはあります。
ただし、答えを与えるのではなく、考えるきっかけを作ることです。
「どうしてこの学校に行きたいの?」
「説明会で何が一番印象に残った?」
「入学したら何をやってみたい?」
「ほかの学校と何が違った?」
そんな問いかけをすると、本人の中にあるものが少しずつ言葉になっていきます。
そこで出てきた言葉を、親が「もっと立派な文章」に変換する必要はありません。
考えるのは本人。
言葉を選ぶのも本人。
最後に書くのも本人です。
親は、その過程を支える。
サクラサクが大切にしている、
「親は理解する。子どもは自分でやる。」
という考え方は、志願理由書でも同じです。
志願理由書は、自分の進路を自分で考える機会
中学受験では、親が先回りしようと思えば、いくらでもできてしまいます。
学校を調べる。
説明会を予約する。
模試を申し込む。
学習計画を管理する。
出願の準備をする。
そして志願理由まで親が考える。
一つひとつは「子どものため」です。
けれど、それが積み重なると、いつの間にか誰の受験なのかが分からなくなってしまいます。
だからこそ、志願理由書は本人に書いてほしいと思います。
「自分はなぜ、この学校へ行きたいのか」
それを小学6年生なりに考える。
うまく書けなければ考え直す。
書き直す。
言葉にできなければ、もう一度学校について調べてみる。
それも中学受験で得られる経験です。
合格するためだけに志願理由書を書くのではありません。
自分が進みたい学校について、自分で考え、自分の言葉にする。
そこに志願理由書を書く意味があるのではないでしょうか。
まとめ
志願理由書は、上手な作文を書くための書類ではありません。
まして、親の作文力を見せるものでもありません。
大切なのは、
「なぜ自分はこの学校へ行きたいのか」
を本人が考えることです。
文章が多少幼くてもいい。
表現が少しくらい拙くてもいい。
本人が考えて書いた言葉なら、面接で聞かれても自分の経験や考えに戻って話すことができます。
親ができるのは、考えるきっかけを作り、必要なところを支えること。
でも、書くのは本人です。
中学受験では、親のサポートが必要な場面がたくさんあります。
それでも、主役まで親が引き受ける必要はありません。
受験するのは子どもです。
志願理由書は、その当たり前のことを親子でもう一度確認できる機会なのだと思います。
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