公立中高一貫校を目指すなら、適性検査への対策が必要になります。
資料を読み取る。条件を整理する。知識を組み合わせる。自分の考えを文章で説明する。
一般的な教科のテストとは少し違う力が求められます。
そして、長く子どもたちを指導していると感じることがあります。
適性検査には、向いている子と、なかなか力を発揮しにくい子がいます。
これは学力が高い、低いという話ではありません。
教科型の問題では非常に強いのに、適性検査になると苦戦する子もいます。
反対に、知識量では周囲に及ばなくても、初めて見る資料や問題を面白がり、自分なりに考えられる子が適性検査で力を発揮することもあります。
だから私は、公立中高一貫校を目指すときにも、
「この学校に入りたい」だけではなく、「この子はどんな入試で力を発揮できるのか」
という視点を持ってほしいと思っています。
適性検査は「知識がいらない試験」ではない
適性検査というと、
「知識より思考力が大切」
と言われることがあります。
ただ、この言葉は少し注意が必要です。
適性検査でも、基礎学力は必要です。
文章を正確に読む力。
計算する力。
割合や速さなどを扱う力。
理科や社会の基本的な知識。
こうした土台がなければ、資料を読み取ったり、条件を整理したりすることも難しくなります。
違うのは、その先です。
知識そのものを答えるだけではなく、
「知っていることを使って、初めて見る問題をどう考えるか」
まで問われます。
資料を比較する。
数字の意味を考える。
複数の条件を整理する。
そこから分かることを説明する。
適性検査では、基礎学力を材料として使いながら考える力が求められます。
初めて見る問題を面白がれる子は強い
適性検査で力を発揮する子を見ていると、必ずしも何でもすぐに解けるわけではありません。
むしろ、
「分からないけれど、とりあえず考えてみる」
ことができる子が強いと感じます。
初めて見る資料が出てくる。
問題文が長い。
どの知識を使えばよいのか、すぐには分からない。
そんなときにも、
「ここに何かヒントがありそう」
「この数字とこの資料は関係しているのではないか」
「こういうことかな」
と粘って考えられる。
普段から、
「なぜ?」
「だったらどうなる?」
「でも、こういう場合は?」
と考えることが好きな子も、適性検査との相性がよいことがあります。
答えを知っていること以上に、答えにたどり着くまで考え続けられることが強みになります。
学力が高くても適性検査で苦戦する子はいる
一方で、教科の勉強ではよくできるのに、適性検査では思うように得点できない子もいます。
知識を覚えるのが得意。
計算も正確。
習った問題なら、解法を使ってきちんと解ける。
ところが、見たことのない形式の問題になると、
「これは習っていない」
「何を使えばいいのか分からない」
と手が止まってしまう。
また、長い問題文や複数の資料を読みながら考えるより、問われたことに対して正確に答えるほうが得意な子もいます。
自分の考えを文章で説明することに強い負担を感じる子もいます。
こうした子が、学力的に劣っているわけではありません。
得意な学び方、得意な問題の形が違うのです。
実際の指導でも、教科型の入試問題では力を発揮するのに、適性検査ではなかなか本来の力を出せないケースがあります。
適性検査に合わなければ、私立中という選択もある
公立中高一貫校を第一志望にしていると、
「ここを目指すと決めたのだから、適性検査を頑張らなければ」
と考えがちです。
もちろん、最初から向き不向きを決める必要はありません。
練習することで、資料の読み方や記述の仕方を身につけ、急に伸びる子もいます。
ただ、ある程度取り組んでも、適性検査ではなかなか自分の力を発揮できない。
一方で、算数や国語などの教科型問題では明らかに強みがある。
そんな子なら、私立中学を含めて受験校を考えることも一つの選択肢です。
公立中高一貫校に向いていないから、私立へ行く。
そういう上下の話ではありません。
その子の強みを、どの入試なら生かせるのか。
そこから学校を考えてもよいのです。
「公立は思考力、私立は暗記」ではなくなっている
ただし、ここでもう一つ考えておきたいことがあります。
以前であれば、
公立中高一貫校=適性検査
私立中学=教科型入試
という違いを比較的イメージしやすかったかもしれません。
現在も私立中学入試の大きな柱は、算数・国語・理科・社会などの教科型入試です。
一方で、私立中学でも適性検査型や思考力型など、多様な入試を実施する学校があります。
さらに、従来型の教科入試でも、単純に知識を覚えているだけでは解きにくい問題があります。
長い文章を読む。
表やグラフを分析する。
複数の条件を整理する。
初めて見る設定の中で、持っている知識を使う。
自分の考えや理由を記述する。
こうした出題は、私立中学入試でも見られます。
つまり、
「公立は思考力、私立は暗記」
という単純な分け方では、現在の中学入試を十分に説明できません。
結局、知識と考える力の両方が必要になる
ここはとても大切なところです。
思考力が重視されるからといって、
「丸暗記は必要ない」
「知識より考える力を育てればよい」
ということではありません。
考えるためには、材料が必要です。
その材料になるのが知識です。
たとえば社会の資料を見ても、その時代の基本的な出来事を知らなければ、資料の意味を十分に理解できないことがあります。
理科の実験結果を考察するときも、基本的な原理や用語を知らなければ考えを進めにくくなります。
算数でも、計算力や基本的な考え方が身についているからこそ、複雑な条件に集中できます。
知識か、思考力か。
二者択一ではありません。
知識を身につけ、その知識を使って考える。
これからの中学受験では、この両方がますます大切になっていくと考えています。
適性検査に取り組むと、その子の「得意」が見えてくる
適性検査に取り組む意味は、公立中高一貫校に合格することだけではありません。
問題を解いている姿を見ると、その子の特徴がよく分かります。
資料を見るとすぐに特徴を見つける子。
条件を一つずつ整理するのが得意な子。
「別の考え方もある」と発想を広げられる子。
自分の考えを文章で説明するのが得意な子。
反対に、計算の正確さや知識量で圧倒的な強さを見せる子もいます。
そうした姿を見ていくと、
「公立か私立か」
というところから考えるのではなく、
「この子の強みを生かせる入試はどれだろう」
という見方ができるようになります。
受験校に子どもを合わせるだけではなく、子どもの特徴を見ながら受験校を考える。
その順番も大切だと思います。
親が早く「向いていない」と決めない
ただし、
「適性検査には向き不向きがある」
という話を、親が子どもの可能性を決める材料にはしてほしくありません。
最初に適性検査を解いたとき、まったく歯が立たなかった。
それだけで、
「あなたは向いていない」
と判断するのは早すぎます。
小学生は変わります。
資料の見方を覚えることもあります。
記述する経験を積むことで、自分の考えを説明できるようになることもあります。
何より、考えること自体を面白がるようになる子もいます。
まずは本人に取り組ませる。
失敗もさせる。
その中で、どんなところで力を発揮するのかを見る。
親が先に答えを決めて、その方向へ子どもを動かす必要はありません。
親は理解する。子どもは自分でやる。
進路を考えるときにも、この距離感を大切にしたいと思います。
まとめ
適性検査には、子どもによって相性があります。
初めて見る問題を面白がり、資料や条件から考えることが得意な子がいる。
一方で、教科の知識や計算力は十分あっても、適性検査ではなかなか力を発揮できない子もいます。
それは能力の差ではありません。
得意な戦い方が違うのです。
だから、公立中高一貫校だけにこだわる必要はありません。
私立中学を含め、その子の強みを生かせる学校や入試を考えるという選択があります。
ただし現在は、私立中学にも適性検査型・思考力型などの入試があり、教科型入試でも知識を使って考える問題が見られます。
公立か私立か。
知識か思考力か。
そんな単純な二択ではなくなっています。
だからこそ、学校名を先に決めて子どもを入試に合わせるだけではなく、
「この子は、どんな問題で力を発揮するのだろう」
という視点から中学受験を考えてみてほしいと思います。
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