公立中高一貫校の受検を考えると、
「うちの子は適性検査に向いているのだろうか」
「成績がよければ、公立中高一貫校にも向いているのか」
と気になる保護者も多いでしょう。
もちろん、計算力や読解力、語彙力などの基礎学力は必要です。
ただし、公立中高一貫校の適性検査では、覚えた知識をそのまま答えるだけでは対応できません。
問題文や資料を読み、条件を整理し、分かったことをもとに自分の考えを説明する力が求められます。
向いているかどうかを見るときは、現在の点数だけでなく、初めて見る情報をどのように扱う子なのかを見ることが大切です。
【適性検査では、教科をまたいで考える】
一般的な私立中学の4科入試では、国語・算数・理科・社会の学力を、教科ごとに問う構成が中心です。
一方、公立中高一貫校の適性検査では、一つの問題の中で複数の教科に関わる力を使うことがあります。
文章や会話文を読む。
表やグラフを比べる。
複数の条件を整理する。
資料から分かったことを書く。
自分の意見や理由を説明する。
たとえば、人口の変化を示すグラフを読み、その背景や地域への影響を文章で説明するような問題です。
そのため、
「この問題は習っていない」
「この形は見たことがない」
と止まってしまう子は、苦戦しやすくなります。
反対に、初めて見る問題でも、
「何が分かっているのか」
「何を答える問題なのか」
「どの情報を使えばよいのか」
と考えられる子は、適性検査と相性がよいと言えます。
【初めて見る問題でも、分かるところから考えられる子】
適性検査では、見慣れた問題がそのまま出るとは限りません。
初めて見る資料やルールを読み、その場で考える問題もあります。
このときに大切なのは、すぐに正解が分かることではありません。
問題文を読み直す。
条件に印をつける。
表の数字を比べる。
分かる情報を書き出す。
会話文の中からヒントを探す。
このように、分かるところから手を動かせるかどうかです。
適性検査に向いている子は、何でもすぐに解ける子ではありません。
すぐに正解へたどり着けなくても、条件に印をつけたり、情報を表や図に書き出したりして、解くための手順を始められる子です。
【資料と自分の経験をつなげられる子】
適性検査の作文や記述では、資料から読み取ったことを、自分の考えや経験と結びつけて書く問題があります。
たとえば、地域で協力することについての資料を読んだとします。
そこで、
「地域の人が協力することは大切です」
と書くだけでは、考えが十分に伝わりません。
一方で、
学校の係活動で、一人で準備を進めようとしてうまくいかなかったことがあります。その後、役割を分けると準備が進みやすくなりました。
と、自分の経験を加えると、意見の理由が具体的になります。
ここで必要なのは、特別な体験ではありません。
学校の係活動。
友達との話し合い。
家庭での手伝い。
失敗してやり方を変えた経験。
こうした日常の出来事でも、十分に材料になります。
大切なのは、問題のテーマに合う経験を取り出し、自分の行動や考えを具体的に説明できることです。
【答えだけでなく、理由を説明しようとする子】
適性検査では、答えだけでなく、考えた理由を書くことが求められます。
なぜそう考えたのか。
資料のどこから分かったのか。
どの条件を使ったのか。
これを言葉にできることが大切です。
家庭で子どもが、
「こっちの方がいいと思う」
と言ったときに、
「どうしてそう思うの?」
と尋ねてみると、その子の考え方が見えます。
「なんとなく」で終わらず、
「前にも似たことがあったから」
「この数字が増えているから」
「こちらの方がみんなで続けやすいから」
と、自分なりの理由を話せる子には強みがあります。
最初から上手に説明できる必要はありません。
理由を考え、何とか言葉にしようとする姿勢があることが大切です。
【知識を使って、仕組みを考えられる子】
適性検査でも、算数・理科・社会・国語の基礎知識は必要です。
ただし、知識を覚えているだけでは十分ではありません。
なぜそうなるのか。
条件が変わるとどうなるのか。
二つの資料には、どのような関係があるのか。
身近な生活では、どこに同じ仕組みがあるのか。
と考える力が求められます。
たとえば、「人口が減っている」と覚えるだけでなく、
人口が減ると、学校や交通、商店にどのような影響が出るのか。
自分の住む地域ではどうなのか。
と考えられる子は、知識を使って考えることができます。
一問一答で正解する力も大切です。
そのうえで、
「なぜだろう」
「ほかの場合はどうなるだろう」
と考えられる子は、適性検査型の学習と相性がよいでしょう。
【自分がどこで止まったかを言葉にできる子】
公立中高一貫校に向いている子は、何でも一人でできる子という意味ではありません。
小学生が、学習計画から弱点分析まですべて自分で管理するのは簡単ではありません。
大切なのは、自分の学習状態を少しずつ見ようとすることです。
「問題文の意味が分からなかった」
「条件を一つ読み落とした」
「考えはあるけれど、文章にできなかった」
「時間が足りなかった」
と、自分が止まった場所を言葉にできれば、次に直す課題がはっきりします。
最初から、子ども一人でここまで言葉にできる必要はありません。
親や先生が、
「どこまでは分かった?」
「どこで止まった?」
と一緒に振り返る中で、少しずつ自分のつまずきを説明できるようになります。
さらに、
「次は条件に線を引く」
「この問題は先生に質問する」
「作文は先にメモを作る」
と、次にすることを考えられる子は、学び方を少しずつ整えられます。
【向いている力は、あとから育てられる】
ここまで読んで、
「うちの子は初見問題ですぐ止まる」
「理由をうまく説明できない」
「自分の学習を振り返れない」
と不安になった方もいるかもしれません。
しかし、適性検査に必要な力は、生まれつきだけで決まるものではありません。
日々の学習や会話の中で育てられます。
理由を説明する力は、
「どうしてそう思ったの?」
という会話から育ちます。
資料を読む力は、表やグラフの違いを一つ見つける練習から育ちます。
初見問題への対応力は、すぐに答えを教えず、分かる条件を探す練習から育ちます。
自分の学び方を見る力は、間違えた原因を一つ確認することから育ちます。
今の点数だけで判断せず、その子の学び方が、適性検査で求められる方向へ変わっているかを見ることが大切です。
【家庭では、身近なことの理由を考える】
家庭で特別な問題を用意する必要はありません。
日常の中にも、考える材料があります。
「なぜ、雨の日は学校の玄関が混むのだろう」
「なぜ、給食当番は役割を分けるのだろう」
「なぜ、この道は朝だけ車が多いのだろう」
こうした身近な問いについて、状況を見て理由を考え、自分の経験とつなげて話すことが、適性検査の土台になります。
大人のような立派な答えを求める必要はありません。
子どもが自分で見たことや経験したことをもとに、理由を話そうとすることが大切です。
【まとめ】
公立中高一貫校に向いている子とは、単に成績がよい子ではありません。
基礎学力に加えて、
初めて見る問題でも、分かる情報から考えられる。
資料と自分の経験をつなげられる。
答えだけでなく、理由を説明しようとする。
知識を使って、仕組みを考えられる。
自分がどこで止まったかを言葉にできる。
条件や分かったことを、紙に書き出して考えられる。
こうした特徴を持つ子です。
ただし、最初からすべてができる必要はありません。
適性検査に必要な力は、日常の会話、作文、資料の読み取り、問題の直しや振り返りを通して少しずつ育てられます。
公立中高一貫校に向いているかを考えるときは、今の点数だけで判断しないことが大切です。
その子が、初めて見る情報を整理し、自分の経験や考えと結びつけ、理由を説明しようとしているか。
その学び方を見ていきましょう。

