夏期講習が始まると、毎日の宿題が一気に増えます。
授業の復習。
計算や漢字。
テキストの演習。
確認テストの直し。
通常授業の宿題が重なることもあります。
最初の数日は何とかこなせていても、少しずつ終わらない課題がたまっていく。
夜遅くまで机に向かっているのに、予定したところまで進まない。
すると保護者は、
「宿題の量が多すぎるのではないか」
「少し減らした方がよいのではないか」
と考えます。
もちろん、子どもの学力や生活時間に対して、宿題量が多すぎる場合もあります。
ただし、終わらない原因が、宿題の量だけとは限りません。
始めるまでに時間がかかっている。
一問で長く止まっている。
分からない問題を飛ばせない。
丸つけやノート作りに時間を使いすぎている。
こうした時間が積み重なっていることもあります。
宿題を減らす前に、まず確認したいのは、
どの宿題が多いかではなく、どこで時間が止まっているか
です。
【宿題が終わらない原因は、量だけではない】
夏期講習の宿題が終わらないと、課題の多さに目が向きます。
しかし、同じ量の宿題でも、必要な時間は子どもによって違います。
その差は、学力だけで生まれるものではありません。
机に向かってから始めるまでの時間。
一問にかける時間。
分からない問題への対応。
丸つけをするタイミング。
ノートの作り方。
こうした進め方によって、宿題にかかる時間は大きく変わります。
「三時間勉強した」と言っていても、三時間ずっと問題を解いていたとは限りません。
どこで止まっていたのかが分からないまま宿題を減らすと、量が少なくなっても同じところで止まることがあります。
まずは、宿題の量と進め方を分けて考えることが必要です。
【机に向かってから、一問目まで何分かかっているか】
宿題に時間がかかる子は、問題を解き始める前に時間を使っていることがあります。
机に座ってから、教材を探す。
今日の宿題を確認する。
筆箱を取りに行く。
飲み物を用意する。
少し休んでから始める。
別の教科を開いて迷う。
気づけば、二十分、三十分たっている。
この時間は、宿題を一ページ減らしても短くなりません。
一度だけでよいので、
机に向かった時刻。
一問目を始めた時刻。
を確認してみます。
差が大きい場合は、宿題量よりも、始めるまでの準備に問題があります。
夏休みは学校がある日よりも、生活の区切りが弱くなります。
そのため、
「午後二時から勉強する」
だけではなく、
「午後二時に、最初の問題を始める」
まで決めた方が動きやすくなります。
教材と筆記用具を先に机へ出しておく。
最初に取り組むページを開いておく。
始めるときに選ばなくてよい状態を作る。
これだけで、最初の空白時間を減らせることがあります。
【一問の前で長く止まっていないか】
真面目な子ほど、分からない問題を最後まで自力で解こうとします。
何度も問題文を読む。
式を書いては消す。
別の方法を考える。
気づけば、一問に十五分、二十分とかかっている。
考える時間は必要です。
ただし、夏期講習では、一日に複数の教科と課題を進めなければなりません。
一問に長く止まり続けると、その問題だけでなく、ほかの宿題まで終わらなくなります。
そこで、分からない問題に使う時間の目安を決めます。
たとえば、
基本問題は五分。
応用問題は十分。
それ以上止まったら印をつけ、いったん次へ進む。
とします。
時間を区切るのは、すぐに諦めさせるためではありません。
一問に、その日の学習時間をすべて使わないためです。
止まった問題は、あとで解説を読む。
授業で質問する。
時間を改めて考える。
その場で解決する問題と、あとへ回す問題を分ける必要があります。
【分からない問題を飛ばせないと、宿題全体が止まる】
宿題が終わらない子の中には、
「空欄のまま次へ進んではいけない」
と思っている子がいます。
一問できないまま進むことに抵抗がある。
全部の欄を埋めないと、宿題をしたことにならないと感じる。
その結果、解けない問題の前で止まり続けます。
しかし、飛ばすことと、放置することは違います。
分からない問題には、印をつけます。
質問する問題。
解説を読む問題。
もう一度考える問題。
として、戻る場所を残しておきます。
そのうえで、解ける問題を先に進めます。
夏期講習では、すべての問題を一度で解決しようとすると、学習全体が動かなくなります。
今できる問題と、今はできない問題を分ける。
これは、宿題を終わらせるためだけでなく、自分のつまずきを把握するためにも必要です。
【丸つけを最後までためていないか】
宿題をすべて解いてから、まとめて丸つけをする。
そのあとで、間違えた問題を一気に直す。
この進め方では、後半に負担が集中します。
問題を解き終えた時点で疲れてしまい、丸つけや直しまでたどり着かないこともあります。
また、最初の方で間違えた考え方を、そのまま後ろの問題でも繰り返すことがあります。
丸つけは、小さく区切った方が進みやすくなります。
一ページ解いたら丸つけをする。
大問二つごとに確認する。
十問ごとに答え合わせをする。
どこで区切るかは、教材に合わせて決めます。
小さく確認することで、
同じ間違いを繰り返していないか。
どこから分からなくなったのか。
直しにどれくらい時間がかかるのか。
が見えやすくなります。
宿題は、問題を解いたら終わりではありません。
ただし、最後に全部まとめて直そうとすると、そこでまた止まりやすくなります。
【ノートを整える時間が長くなっていないか】
解き直しノートをきれいに作る。
問題文を書き写す。
色を使い分ける。
図を定規で描き直す。
見やすいノートには意味があります。
しかし、夏期講習の宿題がたまっているとき、見た目を整える作業に時間を使いすぎると、肝心の復習が進みません。
確認したいのは、
その作業が理解に必要なのか。
提出するための見た目を作ることが目的になっていないか。
です。
問題文をすべて写さなくても、問題番号だけで分かることがあります。
模範解答を丸ごと書き写さなくても、間違えた理由だけ残せばよい場合があります。
図も、考えるために必要な関係が分かれば、作品のように整える必要はありません。
ノートは、きれいに仕上げるためのものではなく、次に同じ間違いをしないための記録です。
【全部の宿題に、同じ時間をかけていないか】
夏期講習の宿題には、役割の違う課題が含まれています。
毎日繰り返す計算や漢字。
授業内容を確認する基本問題。
理解を深める練習問題。
難度の高い発展問題。
確認テストの直し。
それぞれの役割は違います。
それなのに、すべての問題へ同じ時間をかけると、宿題全体が終わりにくくなります。
すでに理解できている基本問題を、何度も丁寧に書き直す。
難問を、自力で解けるまで長時間考える。
すべての問題へ詳しい解き直しを書く。
これでは、必要な時間が増えていきます。
理解できている問題は、短時間で確認する。
間違えた問題は、原因を見る。
長く止まる問題は、印をつけて質問へ回す。
宿題の中でも、時間のかけ方を変えることが必要です。
これは、宿題を勝手に削ることではありません。
同じ宿題の中で、扱い方を分けるということです。
【一日だけ、教科ごとの時間を測ってみる】
「毎日長時間勉強しているのに終わらない」
という状態では、感覚だけで判断しない方がよいでしょう。
一日だけでよいので、教科ごとの所要時間を測ります。
算数の宿題に何分。
国語に何分。
理科に何分。
社会に何分。
丸つけと直しに何分。
細かく子どもを監視する必要はありません。
始めた時刻と終わった時刻を、簡単に記録するだけで十分です。
すると、
算数の一問で二十分止まっていた。
社会のノートまとめに時間を使っていた。
丸つけを最後に残していた。
最初の教科を始めるまでに時間がかかっていた。
といったことが見えてきます。
宿題の総量だけを見ていると、どこを変えればよいか分かりません。
時間を一度見えるようにすると、止まっている場所が分かります。
毎日測り続ける必要はありません。
原因を見つけるために、一度確認するだけで十分です。
【進め方を変えても終わらないなら、量を相談する】
始めるまでの時間を短くした。
一問で止まる時間を決めた。
分からない問題には印をつけて進んだ。
丸つけも小さく区切った。
ノートの書き方も簡潔にした。
それでも宿題が終わらないことはあります。
毎日、深夜までかかる。
睡眠時間が削られている。
次の日の授業中に眠くなる。
基本問題だけでも時間内に終わらない。
ほかの教科へほとんど手が回らない。
このような場合は、宿題量そのものを調整する必要があります。
ただし、家庭だけで何となく減らすのではなく、
どの教科に何分かかっているか。
どの種類の問題で止まるか。
基本問題はどこまで進められるか。
を塾へ伝えたうえで相談します。
優先順位の詳しい決め方は、宿題が重なったときの考え方と共通します。
家庭だけで判断しにくい場合は、塾に、
次の授業までに必ず必要な課題。
余裕があれば取り組む課題。
質問へ回してよい問題。
を確認するとよいでしょう。
【親が見るのは、残りのページ数ではない】
宿題が終わらないと、保護者も焦ります。
「あと何ページあるの?」
「まだ算数が終わっていないの?」
「急がないと間に合わないよ」
と、残りの量を何度も確認したくなります。
しかし、ページ数を見ても、どこで止まっているかは分かりません。
親が確認するなら、
決めた時刻に一問目を始められたか。
長く止まった問題に印がついているか。
丸つけがたまっていないか。
ノート作りに時間を使いすぎていないか。
を見る方が実用的です。
親が横で一問ずつ解かせ続ける必要はありません。
学習内容をすべて教えるのでもありません。
止まったまま時間だけが過ぎる状態を減らす。
そこまでが家庭でできる支えです。
【減らす前に、止まっている時間を見つける】
宿題が終わらないとき、
量を減らす
という判断は分かりやすく見えます。
しかし、実際には、
始めるまでの時間。
一問の前で止まっている時間。
分からない問題を抱えている時間。
ノートを整えている時間。
丸つけを後回しにしている時間。
が積み重なっていることがあります。
この時間を減らすだけで、同じ宿題でも進み方が変わる場合があります。
もちろん、進め方を整えても終わらないなら、量の調整が必要です。
大切なのは、順番です。
最初から、
「宿題が多いから終わらない」
と決めるのではなく、
「どこで時間が止まっているのか」
を一度確認する。
そのうえで、進め方の問題なのか、量の問題なのかを分けます。
【まとめ】
夏期講習の宿題が終わらないとき、すぐに量を減らす前に確認したいことがあります。
机に向かってから、一問目まで何分かかっているか。
一問の前で長く止まっていないか。
分からない問題に印をつけて進めているか。
丸つけを最後までためていないか。
ノートを整えることに時間を使いすぎていないか。
全部の宿題へ同じ時間をかけていないか。
一日だけ教科ごとの時間を測ると、どこで止まっているかが見えやすくなります。
進め方を整えても、睡眠時間を削らなければ終わらない場合は、宿題量の調整が必要です。
そのときは、かかった時間や止まった問題を塾へ伝え、優先する課題を相談します。
宿題が終わらない原因は、量だけとは限りません。
減らすべきなのは、宿題そのものではなく、学習が止まったまま過ぎている時間かもしれません。
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