夏期講習が始まると、毎日のように新しい内容を学びます。
授業を受ける。
宿題に取り組む。
翌日には、また次の授業がある。
予定は詰まっているのに、数日前に習ったことを聞くと、ほとんど覚えていない。
夏期講習では、よく起こることです。
保護者からも、
「復習は、その日のうちにさせた方がよいですか」
「宿題だけで精いっぱいです」
「授業を受けっぱなしになっている気がします」
という相談を受けます。
復習は大切です。
ただし、授業で扱った内容を最初からすべてやり直そうとすると、今度は復習そのものが回らなくなります。
必要なのは、復習の時間を長くすることではありません。
授業で止まった場所を見つけ、宿題と翌日の学習へつなぐことです。
【授業を受けただけでは、できるようになったとは限らない】
授業中は、先生の説明を聞いて理解できたように感じます。
板書も写した。
問題も一緒に解いた。
子ども自身も、
「分かった」
と言います。
けれど、先生の説明を聞いて分かることと、自分一人で解けることは同じではありません。
授業では、先生が考える順番を示してくれます。
途中でヒントも出ます。
周りの子の答えから気づくこともあります。
その助けがなくなったとき、自分で同じ考え方をたどれるか。
そこを確かめるのが復習です。
復習は、授業をもう一度最初から受け直すことではありません。
自分一人になったとき、どこで止まるのかを確かめる作業です。
【復習する問題は、子どもの感覚だけで決めない】
授業後に、
「分からなかった問題はどれ?」
と聞いても、
「全部分かった」
と答える子は少なくありません。
本当に理解できていることもあります。
一方で、先生の説明を写しただけなのに、分かったつもりになっていることもあります。
小学生に、自分の理解不足を正確に見つけるよう求めても、うまくいかない場合があります。
そこで、子どもの感覚だけでなく、テキストやノートに残った痕跡を見ます。
赤字や書き込みが多い問題。
途中式がなく、答えだけが書かれている問題。
先生の解説をそのまま写している問題。
間違いの印が残っている問題。
空欄のままになっている問題。
こうした場所は、授業中に自力では進みにくかった可能性があります。
復習の対象は、子どもの「分からなかった」という言葉と、教材に残った事実の両方から選びます。
【授業直後は、戻る場所を一つ決める】
授業が終わった直後に、すべてを解き直す必要はありません。
まず決めるのは、
「あとで、どこへ戻るか」
です。
書き込みの多い問題。
説明を聞いても曖昧だった問題。
宿題の類題につながりそうな問題。
その中から、一つか二つに印をつけます。
時間がたつと、どこで困ったのかまで忘れてしまいます。
だからこそ、記憶が残っているうちに、戻る場所だけを決めておきます。
復習の第一歩は、大量に解き直すことではありません。
止まった場所を見失わないことです。
【その日のうちは、重要な問題を一問だけ解き直す】
帰宅後は、印をつけた問題の中から、特に重要なものを一問だけ解き直します。
授業で間違えた問題を、すべてやり直す必要はありません。
優先したいのは、
考え方の中心になる問題。
次の授業にもつながる問題。
同じ間違いを繰り返している問題。
先生から、必ずできるようにと言われた問題。
です。
一問でも、自分の力でもう一度解ければ意味があります。
反対に、十問を急いで解き、答え合わせだけをしても、理解したかどうかは曖昧なままです。
その日の復習は、量をこなす時間ではありません。
授業中に先生の助けを借りて解いた問題を、自分一人でたどれるか確かめる時間です。
【翌日の一問を、朝の最初の課題にする】
その日のうちに解けた問題でも、翌日になると解き方を忘れていることがあります。
これは、前日の復習が無駄だったということではありません。
一度理解した内容を、もう一度自分の頭から取り出すことで、記憶は残りやすくなります。
ただし、翌日の復習を新しい予定として加えると、家庭学習がさらに複雑になります。
そこで、前日の夜に、翌朝確認する問題を一問だけ決めます。
そのページを開いておく。
付箋を貼る。
必要なら、問題を一枚だけ机の上に置く。
翌朝は、その一問から始めます。
夏休みの朝、何から始めるか迷って動けない子にとっても、前日の復習問題は取りかかりやすい課題になります。
授業で止まった問題を、その日に一度解き直す。
翌朝、もう一度だけ確かめる。
この流れを作れば、復習を別の大きな学習として追加する必要はありません。
慣れるまでは保護者が一緒に選んでも構いません。
少しずつ、子ども自身が寝る前に翌朝の一問を決められるようにしていきます。
【宿題と復習を別々に全部やろうとしない】
家庭では、
まず宿題を終わらせる。
余裕があれば復習する。
と分けて考えがちです。
しかし、宿題の中には、授業内容を定着させるための類題が含まれています。
その場合は、宿題とは別に同じ範囲をすべて解き直す必要はありません。
授業で止まった問題と、宿題のどこがつながっているかを見ます。
たとえば、授業で割合の文章題に苦戦していたなら、宿題の中にある同じ考え方の問題を丁寧に解く。
授業で自力で解けていた問題の類題は、短く確認して進む。
発展問題は、基礎が理解できていて、時間に余裕があれば取り組む。
宿題を全問、同じ時間と濃さで解く必要はありません。
大切なのは、授業で出たつまずきに、宿題の時間を集中させることです。
【宿題を終わらせるだけでは、復習にならない】
宿題をしたから、復習もできた。
必ずしも、そうとは限りません。
答えを見ながら空欄を埋める。
分からない問題を飛ばす。
間違えた理由を確認せず、丸をつけて終える。
これでは、宿題のページは進んでも、授業で止まった場所は残ったままです。
宿題が復習になっているかを見る基準は、
授業で学んだ考え方を、自分で使えたか。
間違えた理由を確認できたか。
同じような問題が出たとき、もう一度解けそうか。
です。
終わった量ではなく、授業でできなかったことが一つ減ったかを見る必要があります。
【復習できない日は、ゼロにせず小さくする】
夏期講習中は、毎日予定どおり進むとは限りません。
帰宅が遅くなる日。
疲れて集中できない日。
学校の宿題が重なる日。
復習まで手が回らないこともあります。
そのたびに、
「今日の復習が全部できなかった」
と考える必要はありません。
時間がない日は、書き込みの多い問題を一問だけ見る。
解き直せなければ、翌朝取り組む問題を決める。
今日学んだことを、一つだけ口に出して説明する。
それだけでも、授業を受けっぱなしにするのとは違います。
復習が続かない原因は、時間不足だけではありません。
毎回すべてやろうとして、負担を大きくしていることがあります。
できない日ほど、復習をやめるのではなく、対象を小さくすることが大切です。
【親は「復習した?」ではなく、戻る場所を見る】
授業後に、
「ちゃんと復習した?」
と聞いても、
「した」
「宿題でやった」
と答えて終わることがあります。
これだけでは、何を確認したのか分かりません。
家庭では、
「今日、書き込みが多かった問題はどれ?」
「明日の朝、もう一度やるならどれにする?」
「宿題の中で、授業と同じ考え方を使う問題はどこ?」
と、戻る場所を確認します。
ただし、保護者が毎日すべての問題を選び、管理する必要はありません。
最初は一緒に選ぶ。
慣れてきたら、子どもに一問選ばせる。
少しずつ、自分で戻る場所を決められるようにします。
復習を親にやらされる追加課題にするのではなく、自分の理解を確かめる習慣へ変えていくことが大切です。
【復習は、授業・宿題・翌朝をつなぐ流れ】
夏期講習では、毎日多くの内容を学びます。
一回の授業を完全に仕上げてから、次へ進むことは難しいでしょう。
だからこそ、復習を一度で終わらせようとしません。
授業後に、止まった場所を見つける。
その日のうちに、重要な問題を一問解き直す。
宿題では、その類題を丁寧に扱う。
翌朝、もう一度だけ自力で解く。
この流れを作ります。
復習は、授業の後に別の勉強を足すことではありません。
授業、宿題、翌日の学習を一本につなぐことです。
長い時間を取るよりも、戻る場所を決め、短く繰り返す方が、夏期講習では続けやすくなります。
【まとめ】
夏期講習の復習は、授業で扱った問題をすべて解き直すことではありません。
まず、子どもの感覚だけでなく、ノートやテキストに残った書き込みや間違いから、止まった場所を見つけます。
その日のうちに、重要な問題を一問だけ解き直す。
宿題では、その問題につながる類題に時間をかける。
翌朝、同じ問題をもう一度自力で解いてみる。
この流れにすると、復習を別の大量課題として追加せずに済みます。
大切なのは、宿題を全部同じ濃さで終えることではありません。
授業でできなかったことに、時間を集中させることです。
夏期講習を受けっぱなしにしないために必要なのは、大量の解き直しではありません。
授業で止まった場所を見つけ、その日の一問、宿題の類題、翌朝の一問へつなぐ仕組みです。
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