小学生の作文がスラスラ書けるようになる方法|詳しく書くための6つのステップ

小学生の作文を見て、

「たった三行で終わってしまった」

「もっと詳しく書いてと言っても、何も増えない」

「楽しかったです、で終わってしまう」

と悩む保護者は少なくありません。

原稿用紙を前にした子どもへ、

「もっと長く書いて」

「ほかに何かなかったの?」

「もう少し内容を増やして」

と声をかけることもあると思います。

しかし、作文が短い子に必要なのは、出来事を無理に増やすことではありません。

一つの出来事を細かく見直し、その中にある場面や動き、気持ちを言葉にすることです。

作文が短いのは、経験が少ないからとは限りません。

本人の中では、出来事を一つのまとまりとして捉えているため、書くときに細かく分けられないことがあります。

この記事では、小学生の作文が短くなる理由と、一つの出来事を詳しく書くための6つのステップを紹介します。

【作文が短い子は、出来事を要約している】

たとえば、子どもが遠足について、

「遠足で公園に行きました。お弁当を食べました。楽しかったです」

と書いたとします。

ここには、

どこへ行ったか。

何をしたか。

どう思ったか。

という基本的な情報が入っています。

必要なことを簡潔にまとめているとも言えます。

しかし、読み手には、その日の様子がほとんど見えません。

どのような公園だったのか。

誰とお弁当を食べたのか。

何を話したのか。

何が一番印象に残ったのか。

なぜ楽しかったのか。

こうした情報が省かれているからです。

子どもの頭の中には、そのときの景色や友だちの表情、食べたものの味などが残っているかもしれません。

けれど、それらを一つずつ取り出して言葉にできていません。

作文が短い子は、書くことがないのではありません。

出来事を結論だけにまとめ、細かい場面を省いたまま書いていることがあります。

【「もっと長く書いて」では、何をすればよいか分からない】

作文が短いと、大人はつい、

「もっと長く書いて」

と言いたくなります。

しかし、子どもにとって「長く書く」は、具体的な作業ではありません。

何を足せばよいのか。

どこを詳しくすればよいのか。

どの順番で書けばよいのか。

それが分からないまま、文字数だけを増やすよう求められます。

すると、

「とても楽しかったです」

「本当に楽しかったです」

「また行きたいと強く思いました」

と、同じ感想を言い換えて増やすことがあります。

文字数は増えます。

しかし、出来事の中身は増えていません。

さらに注意したいのは、原稿用紙のマス目が埋まったことを、作文の完成と考えてしまうことです。

原稿用紙のマス目が埋まったことを完成の基準にすると、子どもも、

「詳しく伝えること」

ではなく、

「指定された量を埋めること」

を目標にします。

必要なのは、言葉を足して長くすることではありません。

一つの出来事を細かく分け、書く材料を見つけることです。

【作文を詳しく書くための6つのステップ】

【ステップ1:一番書きたい場面を一つ選ぶ】

作文を詳しくしようとして、

「ほかに何をしたの?」

と聞くと、子どもはその日の出来事を次々に並べることがあります。

朝、集合した。

バスに乗った。

公園へ行った。

お弁当を食べた。

遊具で遊んだ。

学校へ戻った。

確かに、書く内容は増えます。

しかし、すべてを一行ずつ書けば、日程表のような作文になります。

詳しく書くために、たくさんの出来事を入れる必要はありません。

むしろ、一番印象に残った場面を一つ選び、その場面を丁寧に書いた方が、読み手には伝わります。

たとえば、

お弁当のふたを開けた瞬間。

大きな滑り台を初めて滑った場面。

途中で雨が降ってきたときのこと。

などです。

作文が短いときは、話題を増やすのではありません。

書く範囲を小さくすることから始めます。

【ステップ2:出来事を「前・最中・後」に分ける】

一つの場面を選んだら、その出来事を時間で分けます。

たとえば、

「大きな滑り台を滑って楽しかった」

という出来事なら、

滑る前。

滑っている最中。

滑った後。

に分けます。

滑る前には、

上から見ると思ったより高かった。

少し怖くなった。

友だちが先に滑った。

ということがあったかもしれません。

滑っている最中には、

風が顔に当たった。

予想より速かった。

思わず声が出た。

ということがあったかもしれません。

滑った後には、

足が少しふらついた。

友だちと笑った。

もう一度滑りたいと思った。

という変化があったかもしれません。

一行で終わっていた出来事の中にも、複数の書く材料があります。

作文を詳しくするとは、別の出来事を足すことではありません。

一つの出来事の中に流れていた時間を、細かく見直すことです。

【ステップ3:見たこと・聞いたこと・したことを思い出す】

次に、その場面で起きたことを具体的に思い出します。

子どもに、

「五感を使って書いて」

と言っても、何をすればよいか分からないことがあります。

家庭では、もっと具体的に考えます。

何が見えたのか。

どんな音が聞こえたのか。

誰が何と言ったのか。

自分は何をしたのか。

たとえば、お弁当を食べた場面なら、

「ふたを開けたとき、最初に何が見えた?」

「隣にいた友だちは、何と言った?」

「そのとき、自分は何をした?」

と聞きます。

「お弁当を食べました」という一文の中にも、いくつもの出来事があります。

ただし、すべての質問を順番に投げかける必要はありません。

子どもの手が止まったところで、一つだけ問いかけ、答えが出たら再び子どもに任せます。

思い出したことをすべて作文に入れる必要もありません。

読み手がその場面を想像するために必要なものを選びます。

【ステップ4:気持ちが生まれた理由を探す】

ステップ3で取り出した出来事の中から、自分の気持ちが動いた瞬間を探します。

感情だけを増やすのではなく、

「何が起きたから、そう感じたのか」

をつなげて考えます。

小学生の作文では、

「楽しかったです」

「うれしかったです」

「悔しかったです」

と、感情だけを書いて終わることがあります。

気持ちを書くことは大切です。

しかし、感情だけでは、読み手にその理由が伝わりません。

「楽しかった」の前には、楽しいと感じた出来事があります。

「うれしかった」の前には、期待や不安、誰かの言葉があるかもしれません。

たとえば、

「リレーで勝ててうれしかったです」

だけでは、結果しか分かりません。

しかし、

「最後の走者が前の組を追い抜いた瞬間、みんなが一斉に立ち上がりました。途中まで負けると思っていたので、勝ったと分かったときは、とてもうれしかったです」

と書けば、なぜうれしかったのかが伝わります。

家庭では、

「どう思ったの?」

だけでなく、

「何があったから、そう思ったの?」

と尋ねます。

作文を詳しくするには、感情の言葉を増やすのではありません。

感情が生まれた原因となる出来事を書くことが大切です。

【ステップ5:書く前に材料を箇条書きにする】

原稿用紙を前にすると、子どもの手が止まることがあります。

それは、作文を書くときに、

内容を思い出す。

順番を考える。

言葉を選ぶ。

漢字を思い出す。

文字を書く。

という複数の作業を、同時に行っているからです。

そこで、

「思い出すこと」

と、

「文章を書くこと」

を分けます。

最初から原稿用紙へ書かせるのではなく、思い出したことを短い言葉で箇条書きにします。

たとえば、

上から見たら怖かった。

友だちが先に滑った。

思ったより速かった。

下で友だちが笑っていた。

もう一度滑った。

というように書きます。

この段階では、きれいな文章になっていなくても構いません。

頭の中にある材料を、紙の上へ出すことが目的です。

作文が短い子は、材料がないのではありません。

思い出すことと書くことを同時に行おうとして、材料を十分に取り出せていないことがあります。

【ステップ6:材料を順番に並べて文章にする】

材料を箇条書きにしたら、出来事が起きた順に並べます。

滑る前。

滑っている最中。

滑った後。

という流れです。

そのあとで、材料同士を文章としてつなぎます。

たとえば、

「滑り台の上から下を見ると、思っていたよりも高く、少し怖くなりました。先に滑った友だちが下から手を振ったので、私も思い切って滑りました。滑り始めると、顔に強い風が当たり、思わず声が出ました。下に着いたときは足が少しふらつきましたが、友だちと顔を見合わせて笑いました。最初は怖かったけれど、もう一度滑りたいと思いました」

という文章になります。

最初からこの文章を考えようとすると、子どもの手は止まりやすくなります。

しかし、材料がすでに紙の上にあれば、あとは順番につなぐ作業になります。

作文をスラスラ書くためには、何も考えずに書き始めるのではありません。

書く前に、考える作業を終わらせておくことが大切です。

【保護者は文章を作らず、材料を引き出す】

作文を書かせていると、保護者はつい、

「こう書けばいいよ」

「そのあとに、楽しかったと書けばいい」

「この言葉を使ったら?」

と助けたくなります。

大人が文章を作れば、作文は早く完成します。

しかし、それでは子どもが一人で書けるようにはなりません。

保護者の役割は、完成文を与えることではありません。

子どもの中にある材料を、必要なときだけ質問によって引き出すことです。

たとえば、

「一番覚えている場面はどこ?」

「その直前には何があった?」

「そのとき、自分は何をした?」

「終わった後、気持ちは変わった?」

と尋ねます。

ただし、すぐに、

「怖かったんでしょ?」

「友だちが応援してくれたんだよね?」

と答えを補ってはいけません。

大人が先回りすると、子どもは自分で言葉を探さなくなります。

質問は、親が文章を作るためではありません。

子ども自身に、出来事を思い出させるために使います。

【詳しく書くことと、何でも書くことは違う】

作文を詳しくしようとすると、大人は多くの情報を入れさせたくなります。

天気。

時間。

服装。

周囲の景色。

会話。

音。

におい。

しかし、情報が多ければ、よい作文になるわけではありません。

一番伝えたい場面に関係のない情報を入れると、かえって焦点がぼやけます。

たとえば、滑り台を滑ったときの怖さと面白さを書く作文に、朝食の内容や学校を出発した時刻まで詳しく書く必要はありません。

詳しく書くとは、すべてを書くことではありません。

一番伝えたい場面に必要な情報を選ぶことです。

【まとめ】

小学生の作文が短いのは、語彙力や経験が足りないからとは限りません。

出来事を一つのまとまりとして捉え、結論だけに要約していることがあります。

その状態で、

「もっと長く書いて」

「内容を増やして」

と言っても、子どもは何を足せばよいか分かりません。

同じ感想を言い換え、文字数だけを増やす作文になりやすくなります。

作文を詳しく書くための6つのステップは、次の通りです。

1.一番書きたい場面を一つ選ぶ
2.出来事を前・最中・後に分ける
3.見たこと・聞いたこと・したことを思い出す
4.気持ちが生まれた理由を探す
5.書く前に材料を箇条書きにする
6.材料を順番に並べて文章にする

詳しい作文とは、情報をたくさん詰め込んだ長い作文ではありません。

読み手がその場面を想像でき、なぜそれが心に残ったのかが伝わる作文です。

子どもが書いた「楽しかったです」という一文には、そのときに見たものや聞いた言葉、気持ちが動いた瞬間が折り畳まれています。

作文を詳しくするとは、その一文の中にまとめられた出来事を、もう一度ゆっくり広げていくことです。

作文が短いとき、別の出来事を足す必要はありません。

一つの場面を細かく見直し、書く前に材料を整理することから始めてみてください。

それが、子どもが作文をスラスラ書けるようになるための土台になります。