小学生の作文が書けない|「体験不足」より「意味づけ不足」を疑う

「いろいろ体験しているのに、作文になると書くことがない」

そんな子がいます。

旅行にも行っている。

習い事もしている。

スポーツもしている。

学校行事にも参加している。

それなのに、作文を書くとなると、

「楽しかったです」

「また行きたいです」

で終わってしまう。

このとき、

「もっといろいろ経験させた方がいいのでは」

と思うかもしれません。

でも、私は必ずしもそうだとは思いません。

足りないのは体験の量ではなく、

その体験をどう感じたか、どう意味づけたか。

そこかもしれません。

体験しただけでは、作文の材料にならない

たとえば旅行に行った。

水族館に行った。

イルカショーを見た。

そこで、

「イルカショーを見ました。すごかったです。楽しかったです。」

と書く。

出来事は書けています。

でも、それだけでは深まりません。

作文に必要なのは、

何があったか+そのとき自分がどう感じたか

です。

「思っていたより近くまで飛んできてびっくりした」

「最初は水がかかるのが嫌だったけれど、途中から楽しくなった」

「飼育員さんの合図だけで動くのが不思議だった」

こういう言葉が入ると、その子の作文になります。

特別な体験でなくてもいい

作文というと、

旅行。

イベント。

大会。

発表会。

そういう「特別な出来事」を探しがちです。

でも、作文の材料はもっと身近にあります。

友達との会話。

学校での失敗。

先生に言われた一言。

初めて一人でできたこと。

少し腹が立ったこと。

悔しかったこと。

うれしかったこと。

むしろ、こういう小さな出来事の方が、

自分の気持ちを書きやすいことがあります。

作文で大切なのは、

出来事の大きさではありません。

その出来事を、自分がどう受け止めたかです。

「何があった?」だけで終わらない

家庭でできることもあります。

子どもが何か体験したとき、

「今日は何があった?」

だけで終わらせない。

もう一歩、

「そのとき、どう思った?」

と聞いてみる。

これだけでも違います。

たとえば、

「体育で転んだ」

と言ったら、

「痛かった?」

だけではなく、

「転んだとき、どんな気持ちだった?」

「そのあとどうした?」

と聞く。

すると、

「恥ずかしかった」

「でも友達が笑わずに待ってくれてうれしかった」

という言葉が出てくるかもしれません。

そこに作文の材料があります。

ただし、親が作文を作らない

ここは大切です。

子どもの話を聞いていると、

親はつい、

「じゃあ、こう書けばいいじゃん」

と言いたくなります。

でも、それをやりすぎると、

子どもの作文ではなくなります。

親がやるのは、

言葉を引き出すところまで。

です。

「どう思った?」

「なんでそう感じた?」

「その前と後で気持ちは変わった?」

そうやって考えさせる。

最後の言葉は、本人に任せる。

作文は、

大人の正しい言葉を書く練習ではありません。

自分の感じたことを、自分の言葉で表す練習

です。

感情は、時間がたつと消えていく

出来事そのものは覚えていても、

そのときの気持ちは意外と早く薄れます。

「あの日、何をしたか」

は覚えていても、

「その瞬間どう感じたか」

は忘れてしまう。

だから、1行メモでもいいと思います。

たとえば、

「今日いちばん印象に残ったこと」

「そのときどう思ったか」

これだけ残しておく。

長い日記を書く必要はありません。

一言でもいい。

そうすると、あとで作文を書くときに、

「あのとき、こんなことを感じていた」

と思い出せます。

作文力は、日常の見方で変わる

作文が苦手な子を見ると、

「文章力がない」

と思われがちです。

でも、その前に、

日常の出来事をどう見ているか

という問題があります。

何かあった。

楽しかった。

終わり。

ではなく、

何が印象に残ったのか。

なぜそう思ったのか。

前と後で気持ちはどう変わったのか。

そこまで考える習慣があると、書ける材料は増えていきます。

まとめ

いろいろ体験しているのに、

作文になると書くことがない。

そんなときは、

体験不足を疑う前に、

意味づけ不足

を考えてみてほしいと思います。

特別な体験でなくてもいい。

日常の中で、

「何があったか」

だけでなく、

「そのときどう感じたか」

まで言葉にする。

その積み重ねが、作文の材料になります。

作文のネタは、

特別な体験の数ではありません。

日常の出来事に、自分なりの意味を見つけられるか。

そこが大切だと思います。

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