作文の問題を前にして、
「何を書けばいいか分からない」
と手が止まる子がいます。
特に適性検査の作文では、
「あなたはどう考えますか」
「自分の経験をもとに書きなさい」
と、自分の意見を求められることがあります。
そこで子どもが探し始めるのが、
「正しい答え」です。
でも、作文の意見に、算数のような一つの正解があるわけではありません。
まずここから変えていきたいと思います。
「どう思う?」では答えにくい
大人でも、
「これについてどう思いますか?」
と突然聞かれたら、意外と答えにくいものです。
小学生なら、なおさらです。
だから、
「自分の意見を書きなさい」
と言われて急に書けないからといって、
「この子は何も考えていない」
というわけではありません。
多くの場合、
考えていないのではなく、考えていることを言葉にする経験が少ない。
こちらです。
自分の意見は、いきなり出てくるものではない
たとえば、
「学校のルールについてどう思いますか」
と聞かれても、すぐには書けないかもしれません。
でも、
「必要だと思う?」
「困ったことはあった?」
「もしそのルールがなかったらどうなる?」
と一つずつ考えていけば、自分の考えが見えてきます。
作文でも同じです。
いきなり立派な結論を考える必要はありません。
まず、
自分は賛成なのか。
反対なのか。
なぜそう思うのか。
似た経験はなかったか。
そのとき何を感じたのか。
こうして少しずつ考えを積み上げていく。
その先に、自分の意見があります。
「正解らしい意見」を書こうとしない
作文が苦手な子ほど、
「先生は何を書いてほしいんだろう」
と考えることがあります。
そして、
「努力は大切です」
「友達とは仲良くするべきです」
「環境を守ることが大切です」
といった、いかにも正しそうな結論を書く。
もちろん、それ自体が間違いではありません。
でも、その言葉だけでは、その子自身の意見にはなりません。
なぜそう思うのか。
自分は何を経験したのか。
その経験から何を考えたのか。
ここまで入って、ようやく文章にその子自身が見えてきます。
作文は、正解らしい言葉を探す競技ではありません。
意見の材料は、特別な経験でなくていい
「書くような経験がありません」
という子もいます。
でも、作文に使える経験は、特別なものでなくていいと思います。
係活動で困ったこと。
友達と意見が合わなかったこと。
習い事で失敗したこと。
家族に注意されたこと。
学校行事で感じたこと。
日常には、意見の材料がたくさんあります。
大事なのは、経験の派手さではありません。
その経験をどう受け止め、何を考えたか。
こちらです。
作文の時間だけ考えさせても難しい
ここはかなり大切です。
普段、自分の考えをほとんど言葉にしていない子に、
作文の時間になった瞬間、
「さあ、自分の意見を書きなさい」
と言っても難しい。
自分の考えを言葉にする力は、作文の時間だけで育つものではありません。
日常の会話の中で、
「どうだった?」
「何が面白かった?」
「何でそう思ったの?」
と話す。
ただし、親が望む答えに誘導する必要はありません。
正しい意見を教える必要もありません。
子どもが自分で感じたことを、自分の言葉で話す。
そういう経験を積み重ねることが大切です。
親が意見を作ってしまわない
作文を見ると、
「こう書いた方がいい」
「それより、こっちの意見の方が正しい」
と直したくなることがあります。
でも、それを続けると、
子どもはますます、
「正解は親が知っている」
と思うようになります。
自分の意見を書く練習なのに、親の意見を書いてしまっては意味がありません。
多少幼くてもいい。
大人から見れば浅くてもいい。
まず本人が、
「私はこう思う」
と言えること。
そこから理由を考えていけばいいと思います。
適性検査作文でも、最後は「自分」が必要になる
適性検査作文では、課題文や資料を正しく読むことが大前提です。
自由に好きなことを書けばいいわけではありません。
ただ、課題に答える中でも、
「自分ならどう考えるか」
「自分の経験とどうつながるか」
を求められる問題があります。
そこで必要になるのが、
普段から自分の考えを持ち、それを言葉にする力です。
作文だけのテクニックではありません。
まとめ
「自分の意見が書けない」
と言う子がいたら、
意見がないと決めつける必要はありません。
正解を探そうとして、動けなくなっているだけかもしれません。
自分の意見は、
突然ひらめくものではなく、
自分の経験を振り返り、感じたことを言葉にする中で少しずつ形になります。
正解を探さない。
自分の経験を思い出す。
なぜそう思ったのかを考える。
そして、自分の言葉で書く。
作文を書く力は、作文用紙の前だけで育つものではありません。
普段から「自分はどう考えるか」を言葉にすること。
そこから始まります。
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