適性検査作文は「早く書けばいい」わけではない|時間が余る子にも足りない子にも伝えたいこと

適性検査の作文というと、

「時間内に最後まで書けない」
「書くのが遅い」

という悩みが多いように思われるかもしれません。

ところが、実際に子どもたちの作文を見ていると、時間が足りない子ばかりではありません。むしろ、かなり早く書き終えて時間を余らせる子も多くいます。

「先生、できました」

まだ時間はかなり残っています。

もちろん、早く書けること自体が悪いわけではありません。

ただ、適性検査の作文では、

早く書き終えた=よく書けた

とは限りません。

大切なのは、何分で書き終えたかではなく、与えられた時間の中で、どこまで考えて書けたかだと思います。

時間が余る子は、なぜそんなに早く書けるのか

時間が余る子の作文を見ると、いくつか共通するところがあります。

問題を読んだら、すぐに書き始める。

思いついたことを、そのまま文章にする。

一応、最後まで書いてある。

だから本人としては「できた」という感覚があります。

ところが読んでみると、

「なぜそう考えたのか」

「その経験から何を学んだのか」

「資料と自分の考えがどうつながっているのか」

といった部分が十分に書かれていないことがあります。

たとえば、

「私は協力することが大切だと思います。学校でも友達と協力したことがあります。これからも協力したいです。」

これでも、文章としては成立しています。

しかし、

なぜ協力することが大切なのか。

どんな場面で、どのように協力したのか。

そのとき自分は何を考えたのか。

もう一歩掘り下げられるところが残っています。

早く書き終わることよりも、こちらの方が大切です。

作文は「思いついたことを書く」だけではない

適性検査の作文で求められているのは、単に自分の経験を書くことではありません。

問題文や資料を読み、何を問われているのかを理解する。

そこから自分の考えを決める。

その考えを伝えるために、どの経験や具体例を使うのかを選ぶ。

そして、相手に伝わるように文章にする。

つまり、作文用紙に文字を書いている時間だけが「作文」ではありません。

読むことも、考えることも、材料を選ぶことも作文の一部です。

ここを飛ばしてしまえば、当然、早く書き終わります。

だから私は、時間が余った子に対して、単純に「速く書けてすごい」とは考えません。

その余った時間で、もう一度問題を読み直してほしいと思います。

「ちゃんと聞かれたことに答えているか」を確認する

時間が余ったとき、最初に見直したいのは誤字脱字ではありません。

もちろん、それも大切です。

でも、それ以上に確認してほしいことがあります。

「私は、聞かれたことに答えているだろうか」

ということです。

作文を書いているうちに、自分の経験を書くことに夢中になり、問題から少しずつ離れてしまうことがあります。

資料を使う条件なのに、ほとんど触れていない。

理由を聞かれているのに、経験だけを書いている。

二つのことを答える問題なのに、一つしか答えていない。

こうしたズレは珍しくありません。

最後まで書いたから完成、ではありません。

問題に戻って、自分の作文を読み直す。

時間が余っているなら、そのために使ってほしいと思います。

では、時間が足りない子はどうすればいいのか

一方で、本当に時間が足りなくなる子もいます。

こちらも、単純に「書くのが遅い」とは限りません。

何を書こうか迷っている。

書き始めてから方向を変える。

一文書くたびに、「これでいいのかな」と止まる。

こうした子の場合、書くスピードを上げようとしても、なかなか解決しません。

必要なのは、書き始める前に大まかな道筋を作ることです。

たとえば、

「自分の考え」

「使う経験や具体例」

「最後に伝えたいこと」

このくらいを簡単に決めてから書き始める。

全文の下書きを作る必要はありません。

書いている途中で迷子にならない程度の道筋があれば十分です。

時間が余る子には「もう少し考えてから書こう」。

時間が足りない子には「書く前に整理してから書こう」。

一見、反対のようですが、実は同じことを伝えています。

作文は、書く前の「考える時間」が大切だということです。

制限時間いっぱいまで文字を書き続ける必要もない

だからといって、制限時間を全部使わなければいけないわけでもありません。

必要なことを十分に考え、条件を満たし、自分の考えを伝えられているなら、早めに書き終わることもあります。

大切なのは、

「早く終わらせる」ことを目標にしないこと。

反対に、

「時間いっぱいまで書く」ことも目標にしないこと。

時間は、作文の出来を測るものではありません。

考えるために使う。

書くために使う。

読み直すために使う。

その配分を、自分でできるようになっていくことが大切です。

親が「もっと書きなさい」と言いすぎない

作文が短かったり、早く終わったりすると、

「もっと詳しく書いたら?」

「ここにこんなことを書けばいいじゃない」

と、大人はつい言いたくなります。

確かに、大人が質問を重ねれば文章は長くなります。

しかし、本番では誰も横から質問してくれません。

自分で、

「もう少し説明した方が伝わるかな」

「なぜそう思ったのだろう」

「この経験を具体的にした方がいいかな」

と考えられるようになることが大切です。

親が作文を完成させるのではありません。

親は考え方を理解する。実際に考え、書き、直すのは子ども自身です。

うまく書けなかった経験も、次の作文につながります。

まとめ

適性検査作文では、時間が足りない子もいれば、時間が余る子もいます。

どちらがよい、悪いという話ではありません。

見るべきなのは、その子が時間をどう使っているかです。

早く書き始めて、早く終わる。

じっくり考えてから書く。

途中で何度も迷う。

書き終えてから問題に戻る。

同じ30分でも、使い方は一人ひとり違います。

だから作文の練習で大切にしたいのは、「もっと速く」でも「もっと長く」でもありません。

限られた時間の中で、自分で考え、書き、もう一度自分の文章を確かめること。

適性検査の作文は、その力を見る問題でもあると思います。

早く終わったから安心する必要もなければ、少し時間がかかったから焦る必要もありません。

子ども自身が、自分に合った「考える・書く・見直す」の時間配分を身につけていく。

その過程を大切にしたいと思います。

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