夏期合宿についていけるか不安な子へ|出発前に親が伝えたいこと

夏期合宿が近づくと、急に口数が少なくなる子がいます。

「授業についていけなかったらどうしよう」

「知らない子ばかりだったら嫌だな」

「夜、眠れなかったらどうしよう」

申し込みをしたときは楽しみにしていたのに、出発が近づくにつれて不安が大きくなることもあります。

そんな様子を見ると、保護者は励ましたくなります。

「大丈夫だよ」

「みんな同じだから心配しなくていい」

「せっかく行くのだから、しっかり頑張ってきなさい」

どれも子どもを安心させたい気持ちから出る言葉です。

ただ、不安を抱えている子に必要なのは、「心配しなくてよい」と言われることだけではありません。

不安があっても、合宿へ向かえる見通しを持たせることです。

「ついていく」の意味を小さくする

子どもが「ついていけるかな」と言うとき、何についていけないと感じているのかは、必ずしも明確ではありません。

授業の速さかもしれません。

周囲の成績かもしれません。

生活の時間割かもしれません。

友だちとの集団行動かもしれません。

それらを全部まとめて、「合宿についていけないかもしれない」と感じています。

ここで、「全部できなくても大丈夫」と伝えるだけでは、まだ不安は大きいままです。

まずは、合宿で求めることを小さくします。

「授業を全部理解して帰ってこなくていい」

「分からない問題を一つ質問できたら十分」

「困ったときに先生へ言えたら、それも成長だよ」

合宿全体を成功させるのではなく、一つの行動を目標にすると、子どもは動きやすくなります。

分からないことは失敗ではない

合宿では、普段より長い時間勉強します。

扱う問題も多く、難しい内容に出会うこともあります。

周囲の子がすぐに答えていると、自分だけ理解できていないように感じるかもしれません。

しかし、合宿は、できることだけを確認する場所ではありません。

自分の分からないところを見つける場所でもあります。

出発前には、

「分からない問題があるのは当たり前だよ」

「分からないまま隠すより、先生に聞けた方がよい」

と伝えておきたいところです。

子どもは、「分からない」と思われることを恥ずかしがることがあります。

特に、周囲の目を気にする子ほど、質問せずにやり過ごそうとします。

けれども、質問することは遅れている証拠ではありません。

学びを前へ進めるための行動です。

比べるなら、答えではなく姿勢を見る

合宿では、普段とは違う仲間と一緒に学ぶことがあります。

問題を解くのが速い子。

発表に積極的な子。

休憩時間にも教材を見ている子。

その姿を見て、刺激を受けることは合宿の価値の一つです。

一方で、「自分はあの子ほどできない」と落ち込むこともあります。

出発前には、比べる対象を変えておくとよいでしょう。

「何点取ったかだけでなく、周りの子のよい勉強の仕方を見つけておいで」

「質問の仕方やノートの取り方を一つまねできたらいいね」

正解数だけを比べると、自信を失う子がいます。

しかし、姿勢や工夫なら、自分の学習へ持ち帰ることができます。

ライバルと切磋琢磨するとは、相手に勝つことだけではありません。

相手の頑張りを見て、自分の行動を一つ変えることでもあります。

困ったときの行動を決めておく

不安を軽くするには、「困らないようにする」より、「困ったらどうするか」を決めておく方が現実的です。

体調が悪くなったら、すぐ先生に言う。

教材が見つからなければ、一人で探し続けずに相談する。

友だちとのことで困ったら、我慢せず担当の先生へ伝える。

授業が分からなければ、休み時間に質問する。

子どもは、困った場面になると、どう動けばよいか分からなくなることがあります。

あらかじめ行動を確認しておけば、その場で思い出しやすくなります。

「自分で何とかしなさい」ではなく、

「自分でできないときは、助けを求めていい」

と伝えておくことが大切です。

助けを求める力も、自立の一つです。

親の期待を背負わせすぎない

合宿には費用も時間もかかります。

送り出す保護者としては、「せっかく参加するのだから、何かを得てきてほしい」と思うのは自然です。

ただ、その期待が強すぎると、子どもは合宿へ行く前から緊張します。

「成績を上げてこなければいけない」

「弱音を吐いてはいけない」

「楽しんではいけない」

そのように受け止めてしまう子もいます。

出発前に伝えたいのは、大きな成果の要求ではありません。

「最後まで参加できたら、それだけでも経験になるよ」

「うまくいかないことがあっても、帰ってから一緒に考えよう」

この言葉があると、子どもは失敗を恐れすぎずに参加できます。

合宿中にすべてがうまくいく必要はありません。

不安になったり、疲れたり、思ったようにできなかったりすることも含めて、合宿の経験です。

その子に合った送り出し方がある

出発前の声かけは、どの子にも同じでよいわけではありません。

細かな予定を確認すると安心する子もいます。

「大丈夫」と背中を押されると動ける子もいます。

あまり話しかけられず、静かに見守られた方が落ち着く子もいます。

不安が強いからといって、弱いわけではありません。

見通しが持てれば力を出せる子もいます。

競争の中で頑張れる子もいれば、自分の目標がはっきりすると動ける子もいます。

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出発前に、親が不安をすべて消してあげることはできません。

けれども、不安を抱えたままでも動ける言葉を渡すことはできます。

「全部できなくていい」

「困ったら先生に言っていい」

「一つ持ち帰れば十分」

この三つを伝えて送り出すだけでも、子どもの気持ちは変わります。

夏期合宿は、完璧に頑張る場所ではありません。

自分なりに学び、周囲から刺激を受け、困ったときに立て直す経験をする場所です。

不安があることも含めて、その子の合宿が始まっています。

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