「先生、過去問は2周した方がいいですか?」
11月になると、保護者からこうした質問を受けることが増えてきます。
第一志望校の過去問はもう一度解かせたい。でも、併願校の過去問も残っている。苦手単元の復習も必要です。
入試までの時間が限られているからこそ、何を優先するべきか迷うご家庭も少なくありません。
結論から言えば、時間に余裕があれば、第一志望校の過去問は2周目まで取り組むことをおすすめします。
ただし、すべての学校の過去問を2周する必要はありません。
大切なのは、過去問を何周したかではなく、そこから見つかった課題をどこまで改善できたかです。
【第一志望校の過去問は、できれば2周目まで】
第一志望校の過去問には、ほかの学校以上に時間をかける価値があります。
学校によって、出題形式や問題の難易度、時間配分、求められる答案の特徴が異なるからです。
1周目は出題傾向と弱点を知る
初めて過去問に取り組むときは、得点だけに注目しないことが大切です。
算数なら、どの大問に時間がかかったのか。国語なら、どのような記述問題で失点したのか。
理科や社会では、知識不足による失点なのか、資料の読み取りや考察ができなかったのか。
こうした課題を見つけることが、1周目の重要な目的です。
2周目は課題の改善を確かめる
2周目では、1周目で見つかった課題を改善できているかを確認します。
例えば、国語の記述問題で設問の条件を読み落としていた場合。
2周目では、答えを覚えているかどうかではなく、条件を意識して答案を作れるようになったかを見ます。
算数で時間配分に失敗したなら、解く順番や、難しい問題に時間をかけすぎない判断ができるかを確認します。
1周目で課題を発見し、2周目で改善を確認する。
この意識を持つことが大切です。
【過去問の2周目で点数が上がっても安心できない理由】
過去問を2回目に解くと、多くの場合、1回目より点数が上がります。
問題文や答えを覚えていたり、解き方の見通しが立っていたりするためです。
もちろん、以前できなかった問題を解けるようになることには意味があります。
ただし、2周目の点数をそのまま現在の実力と考えることはできません。
入試本番で出題されるのは、初めて見る問題だからです。
答えを覚えたのか、考え方を身につけたのか
例えば、算数で正解できたとしても、以前の解説を覚えているだけかもしれません。
そこで確認したいのが、「なぜ、その解き方を選んだのか」を説明できるかどうかです。
国語の記述問題でも、模範解答を再現することと、本文から根拠を見つけて答案を作ることは違います。
2周目で確認したいのは、点数の上昇だけでなく、解答に至る過程の変化です。
【過去問の2周目は全問解き直すべき?】
第一志望校であっても、すべての年度を最初から解き直すことにこだわる必要はありません。
時間に余裕があれば、制限時間を設けて一年度分を通して解くことにも意味があります。
一方、時間が限られている場合は、解き直す問題を選ぶ方が効果的です。
優先して解き直したい問題
次のような問題は、2周目に取り組む価値があります。
- 解説を読んで理解したものの、自力では解けなかった問題
- 解き直した直後はできても、数日後には解けなくなった問題
- 志望校で繰り返し出題される分野の問題
- 設問の読み違いや時間配分の失敗で落とした問題
反対に、十分に理解していて安定して正解できる問題まで、何度も繰り返す必要はありません。
科目によって解き直しの目的を変える
算数は、解法を理解しているかだけでなく、自力で再現できるかを確認します。
国語は、本文の根拠を見つけ、設問の条件に合う答案を作れるかが重要です。
理科は、知識に加えて、実験や観察の結果から考える過程を見直します。
社会は、用語の暗記だけでなく、地図や統計資料を使って説明できるかを確かめます。
同じ解き直しでも、科目や失点原因によって取り組み方は変わります。
【過去問の2周目より苦手単元の復習を優先する場合】
過去問は、志望校の出題傾向を知るためだけの教材ではありません。
子どもの弱点を発見するための教材でもあります。
例えば、算数の割合や速さで繰り返し失点している場合。
同じ過去問をもう一度解くより、割合や速さの基本問題に戻り、理解を確かめた方がよいことがあります。
国語の記述問題で得点できない場合も、過去問を繰り返すだけでは改善しないことがあります。
設問の条件を読み取る力や、本文から根拠を探す力が不足しているなら、その部分を練習する必要があります。
過去問で見つけた弱点は、別の教材で補強する
過去問で課題を見つける。
普段の教材に戻って、必要な部分を補強する。
そのうえで、2周目や別年度の問題で改善を確認する。
この流れを意識すると、ただ過去問を繰り返すよりも、学習の目的が明確になります。
【11月からの過去問演習は何を優先する?】
11月の段階では、まだ解いていない年度が残っているご家庭も少なくありません。
第一志望校の2周目に取り組みたい気持ちはあっても、すべてを終わらせようとすると、復習の時間がなくなってしまいます。
そこで、優先順位を整理しておきましょう。
① 第一志望校の未実施年度を進める
まずは、第一志望校の過去問を計画的に進めます。
複数年度に取り組むことで、出題傾向や時間配分の特徴が見えてきます。
② 併願校の過去問にも取り組む
第一志望校だけに集中しすぎないことも大切です。
併願校にも独自の出題形式があります。
実際に受験する学校については、必要な年度を確保し、問題の特徴に慣れておきましょう。
③ 苦手単元の補強を進める
過去問で繰り返し失点している分野は、普段の教材を使って復習します。
ここを後回しにしたまま過去問の実施回数だけを増やしても、初めて見る問題への対応力は十分に高まりません。
④ 余裕があれば第一志望校の2周目へ
未実施年度や苦手単元の復習に一定の見通しが立ったら、第一志望校の2周目に取り組みます。
時間が十分にあれば、制限時間を設けて一年度分を通して解いてみましょう。
時間が限られる場合は、失点の多かった問題や頻出分野を選んで解き直す方法でも構いません。
【保護者が確認したいのは、過去問の回数より学習の中身】
入試が近づくと、保護者はどうしても過去問の進み具合が気になります。
「あと何年分残っているの?」
「2周目はいつから始めるの?」
こうした確認も、学習計画を立てるうえでは必要です。
ただ、予定した回数をこなすことばかりに意識が向くと、子どもは間違えた理由を考える時間を失ってしまいます。
私が現場で確認したいのは、次の二つです。
「なぜ、この問題を間違えたのか」
「次に同じような問題が出たら、どう解くのか」
この二つを子ども自身が説明できるなら、解き直しには意味があったと考えられます。
保護者も、過去問を何年分終えたかだけでなく、今回の演習で何ができるようになったかに目を向けてみてください。
【まとめ|第一志望校の過去問は、余裕があれば2周目まで】
第一志望校の過去問は、時間に余裕があれば2周目まで取り組むことをおすすめします。
ただし、2周すること自体が目的ではありません。
1周目で課題を見つけ、必要な学習で補強し、2周目で改善を確認する。
この流れを意識することが大切です。
入試までの時間は限られています。
すべてを繰り返すのではなく、何をやり直し、何をやらないかを見極めていきましょう。
過去問は、何周したかよりも、次の初見問題で何ができるようになったか。
その視点を持つことが、入試直前期の学習をより実りあるものにしてくれます。
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