中学受験の過去問を解いたあと、
「間違えた問題は全部解き直した方がいいですか?」
と聞かれることがあります。
もちろん、解き直しは大切です。
しかし私は、間違えた問題をすべて同じように解き直す必要はないと考えています。
入試問題には、合格するために取らなければならない問題もあれば、受験生の多くが解けないような難問もあります。
大切なのは、正解だったか不正解だったかだけを見ることではありません。
その問題が、合否にどう関わる問題だったのか。
そこまで考えて過去問を分析することが、本番で合格点を取る力につながります。
過去問は点数だけでは判断できない
過去問を解いたら、まず採点をします。
ところが、ここで一つ問題があります。
すべての学校が、各問題の配点や詳しい採点基準まで公開しているわけではありません。
記述問題では、どこまで書けば何点になるのか分からないこともあります。
そのため、過去問で出した点数は、学校によってはあくまで目安になります。
だからこそ、
「65点だった」
「合格最低点まであと10点だった」
という数字だけで終わらせないことが大切です。
どの問題を取れて、どの問題を落としたのか。
こちらを見る必要があります。
過去問の問題を3つに分けて考える
私は、過去問を解いたあと、問題を大きく3種類に分けて考えるとよいと思っています。
1.できた問題
まずは、きちんと取れた問題です。
ただし、正解していればすべて問題なし、というわけではありません。
たまたま正解した。
かなり時間がかかった。
答えは合っていたけれど、考え方に自信がなかった。
こうした問題は、本番でも確実に取れるとは限りません。
「正解したか」ではなく、「次に出ても取れるか」まで確認する。
ここがポイントです。
2.合否を分ける問題
過去問の分析で最も重要なのが、この問題です。
あと少しで解けた。
計算ミスで落とした。
知識はあったのに思い出せなかった。
時間配分を間違えて手をつけられなかった。
このような、本来なら取れる可能性があった問題です。
入試では、難問を一問解けるかどうかより、こうした問題を確実に取れるかどうかが合否を分けることがあります。
だから、解き直しで最も時間をかけたいのはここです。
3.捨て問題
そして、入試問題には捨ててもよい問題があります。
非常に難しい。
時間がかかる。
今の実力では解くのが難しい。
こうした問題まで、
「間違えたから全部できるようにしなければ」
と考える必要はありません。
限られた時間の中で合格点を取るのが入試です。
捨てるべき問題を捨てることも、入試では立派な判断です。
「合否を分ける問題」を徹底的に復習する
3種類に分けたら、復習の中心は「合否を分ける問題」です。
ただし、間違えた原因によって復習方法は変わります。
単純な計算ミスだったなら、なぜミスをしたのかを確認する。
時間配分が原因なら、問題を解く順番を見直す。
知識が曖昧だったなら、その知識を確認する。
そして、問題なのは、
その問題を解くための実力そのものが不足していた場合です。
この場合、過去問の解説を読んで終わりにしてはいけません。
テキストに戻ります。
該当する単元を確認し、基本問題や類題からもう一度取り組みます。
過去問で見つかった穴を、普段使っている教材に戻って埋めるのです。
過去問は、それ自体が教材であると同時に、自分に何が足りないのかを見つけるための診断材料でもあります。
どれが「合否を分ける問題」か分からないとき
家庭だけでは、
「これは取るべき問題なのか」
「これは捨ててもいい問題なのか」
と判断できないこともあるでしょう。
そんなときは、塾の先生に聞いて構いません。
ただし、誰に聞いても同じというわけではありません。
できれば、その学校の入試問題に精通している講師に聞いてください。
過去の問題を何年も見ている講師であれば、
「これは取らなければいけない」
「この問題はできなくても気にしなくていい」
「この学校では、このタイプの問題がよく出る」
といった判断ができます。
過去問指導では、単に問題を解ける先生かどうかだけではなく、その学校の入試を知っているかも重要です。
過去問は必ず本番と同じ時間で解く
過去問を解くときは、時間も本番通りにします。
50分の試験なら50分。
途中で止めたり、少しだけ延長したりしません。
入試では、
「あと5分あれば解けた」
は通用しないからです。
さらに、過去問演習にはもう一つ大切な意味があります。
試験時間いっぱい集中し続ける練習です。
家庭で取り組む場合も、その時間だけはできるだけ本番に近い環境を作りましょう。
テレビがついている。
家族が何度も話しかける。
途中でおやつを食べる。
これでは、本番の練習にはなりません。
問題だけではなく、時間と集中する環境まで含めて過去問演習です。
2周目はすぐにやらなくていい
本命校の過去問は、できれば2周目にも取り組みたいところです。
ただし、1周目が終わったらすぐに同じ問題をもう一度解く必要はありません。
秋の段階では、別の年度や併願校の過去問を優先してよいと考えています。
さまざまなタイプの入試問題に触れることで、
「この単元が弱い」
「記述になると点が取れない」
「時間が足りなくなりやすい」
といった弱点が見えてきます。
そこで必要な復習をする。
そして、本命校の2周目は受験直前で構いません。
時間が足りなければ、すべてをもう一度解く必要もありません。
科目や問題を選び、合否を分けそうなところを重点的に確認します。
1周目で弱点を発見し、勉強し直したあとに2周目で確認する。
この順番に意味があります。
過去問は「満点を取れるようにする教材」ではない
過去問に取り組むと、どうしても間違えた問題が気になります。
親としても、
「せっかく解いたのだから、全部できるようにしたい」
と思うかもしれません。
しかし、中学入試で必要なのは満点ではありません。
必要なのは合格点です。
だから、
できた問題を確実に取る。
合否を分ける問題を取れるようにする。
捨て問題に時間を使いすぎない。
この判断が重要になります。
過去問を解く目的は、すべての問題を解ける子になることではありません。
その学校の入試で、合格点を取れる受験生になることです。
まとめ
過去問を解いたあとは、正解・不正解だけで判断しないようにしましょう。
問題を、
「できた問題」
「合否を分ける問題」
「捨て問題」
の3つに分けて考えます。
その中で、最も大切なのが「合否を分ける問題」です。
実力不足ならテキストまで戻り、単元や類題から復習する。
どの問題を復習すべきか判断できなければ、その学校の入試に精通した塾の先生に相談する。
そして過去問は、本番と同じ時間・集中できる環境で解きます。
2周目を急ぐ必要もありません。
別年度や併願校の問題にも触れながら弱点を洗い出し、勉強し直したうえで、受験直前に本命校をもう一度確認する。
過去問で大切なのは、間違いを全部なくすことではありません。
どこで点を取り、どこを捨て、どうやって合格点を作るのか。
そこまで考えることが、本当の意味での過去問対策です。
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