読書の秋に考えたい|読書感想文は「あらすじ」ではなく、自分の変化を書く

夏休みの宿題というイメージが強い読書感想文。

でも、読書感想文を書く経験は、夏休みだけのものではありません。

秋は本にも触れやすい季節です。

中学受験を目指していると、どうしても問題集や過去問に使う時間が増えていきますが、ときには一冊の本をじっくり読んで、自分が何を感じたのかを考えてみるのもいいでしょう。

そして、せっかくなら読んで終わりではなく、自分の考えを文章にしてみる。

読書感想文は、そのためのとてもよい練習になります。

ただ、子どもたちの読書感想文を見ていると、よくある失敗があります。

それは、感想文ではなく「あらすじ紹介」になってしまうことです。

読書感想文は「本の紹介」ではない

読書感想文を書こうとすると、最初に物語の説明を長く書いてしまうことがあります。

主人公は〇〇です。

ある日、〇〇が起こりました。

そして〇〇と出会って……。

丁寧に書いているうちに、原稿用紙のかなりの部分があらすじで埋まってしまいます。

でも、読書感想文で読み手が知りたいのは、物語の詳しい内容ではありません。

その本を読んで、あなたが何を感じ、何を考えたのか。

ここが中心です。

あらすじは、自分が印象に残った場面を説明するために必要な分だけで十分です。

「一番心に残ったところ」から始めてみる

何を書けばいいか分からない子は、本全体について感想を書こうとしていることがあります。

そんなときは、一つに絞ってみます。

「一番心に残った場面はどこだった?」

まずはここからです。

次に、

「どうしてそこが気になった?」

「自分だったらどうしたと思う?」

「似たような経験はなかった?」

と考えていきます。

すると、単なる本の説明から、その子自身の話へ移っていきます。

例えば、

「主人公が友達に本当のことを言えなかった場面が心に残りました」

だけで終わらず、

「自分にも同じように言いたいことを言えなかった経験がある」

まで考えられれば、その子にしか書けない読書感想文になります。

読書前と読書後の「自分」を比べる

もう一つ、読書感想文を書くときに考えてみてほしいことがあります。

本を読む前と読んだ後で、自分は何か変わっただろうか。

という視点です。

大きく人生観が変わる必要はありません。

「最初は主人公の行動が理解できなかったけれど、読み終わったら少し分かるようになった」

「自分なら絶対にできないと思っていたけれど、少し挑戦してみたいと思った」

「今まで当たり前だと思っていたことを、違う立場から考えるようになった」

そんな小さな変化で十分です。

読書には、自分が知らなかった知識や考え方に出会い、それまでとは少し違った角度から物事を見る力を育てる面があります。

その読書前と読書後の自分の違いを見つけると、感想文はぐっと書きやすくなります。

読書感想文にも「型」がある

「自由に感想を書きなさい」と言われる方が、かえって難しい子もいます。

そんな場合は、最初に簡単な型を使って構いません。

例えば、

①一番印象に残った場面
②なぜ印象に残ったのか
③自分の経験や考えとのつながり
④本を読んで考えがどう変わったか

この順番です。

型は、答えを決めるためのものではありません。

自分の考えを整理するための道具です。

慣れてきたら、必ずしもこの順番で書く必要はありません。

まずは型を使って、「自分の考えを文章にする」経験を重ねていけばいいと思います。

親が感想まで考えない

読書感想文になると、親がつい手を出したくなることがあります。

「ここで感動したんじゃない?」

「この経験を書いたら?」

「最後はこうまとめたら?」

そうやって一緒に作れば、確かに文章は早く完成します。

でも、それでは誰の感想文なのか分からなくなります。

親ができるのは、答えを教えることではなく、

「どこが一番気になった?」

「どうしてそう思った?」

「読む前はどう思っていた?」

と問いかけるところまで。

答えるのは本人です。

そして、書くのも本人です。

多少まとまりが悪くても、子ども自身が考えた文章には意味があります。

親は理解する。子どもは自分でやる。

読書感想文でも、この考え方は変わりません。

読書感想文を書くことが目的ではない

読書感想文というと、原稿用紙を埋めることが目的になってしまいがちです。

でも、本当に大切なのは完成した原稿だけではありません。

本を読む。

心が動く。

なぜそう感じたのかを考える。

自分の経験と結びつける。

そして、それを自分の言葉で表現する。

この一連の経験に価値があります。

中学受験でも、自分の考えを理由とともに説明したり、文章や資料を読んで考えたりする場面があります。

読書感想文を書く経験は、そうした力とも無関係ではありません。

ただし、「受験に役立つから本を読む」と考えすぎる必要もないでしょう。

まずは本を楽しむ。

そのうえで、心に残ったことを自分の言葉にしてみる。

それで十分です。

まとめ

読書感想文で大切なのは、長いあらすじを書くことではありません。

本を読んで、自分が何を感じ、何を考え、何が少し変わったのか。

そこに、その子だけの感想文があります。

あらすじは短く。

印象に残った場面を一つ選ぶ。

自分の経験と比べる。

そして、読書前と読書後の自分を比べてみる。

書きにくければ、型を使って考えを整理しても構いません。

読書の秋。

受験勉強のためだけではなく、一冊の本とゆっくり向き合う時間を作ってみるのもいいのではないでしょうか。

そして読み終えたら、

「この本を読んで、自分は何を考えた?」

その答えを、子ども自身の言葉で残してみてください。

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