小学5年生の秋が、理科を苦手にしない分かれ道|中学受験で計算単元が増える前に

中学受験の指導をしていると、5年生の秋ごろから、

「理科が急に難しくなった」

「前までは取れていたのに、最近点数が取れない」

という声が増えてきます。

私は、小学5年生の秋は、理科を苦手科目にしないための一つの分かれ道だと思っています。

4年生から5年生前半までは、知識を覚えることである程度対応できた子もいます。

ところが、学習が進むにつれて、それだけでは解けない問題が増えてきます。

計算する。

条件を整理する。

図やグラフを読み取る。

いくつかの知識を組み合わせて考える。

ここで、理科の勉強の仕方そのものを変えられるか。

それが、6年生になったときの大きな差につながっていきます。

「覚えれば取れる理科」から変わってくる

小学校の理科というと、

「暗記科目」

というイメージを持っている人もいるかもしれません。

もちろん、知識は必要です。

植物の名前や特徴、人体、天体、気象など、覚えていなければ解けないこともたくさんあります。

しかし、中学受験の理科は、それだけではありません。

5年生になると、少しずつ知識を使って考える問題が増えてきます。

代表的なのが計算を伴う単元です。

てこ。

ばね。

電流。

水溶液。

熱。

そして6年生になれば、さらにさまざまな知識や計算を組み合わせた問題へ進んでいきます。

ここで「公式を覚えればいい」と進んでしまうと、問題が少し変わっただけで解けなくなることがあります。

算数が苦手だから、理科の計算もできないとは限らない

理科の計算問題ができないと、

「算数が苦手だから仕方ない」

と思われることがあります。

もちろん、基本的な計算力は必要です。

ただ、実際には算数だけが原因とは限りません。

むしろ多いのは、何が起きているのか分からないまま数字を動かしているケースです。

たとえば、てこの問題。

支点からの距離と重さを使って計算しますが、その式だけを覚えていても、少し複雑な図になると手が止まります。

大切なのは、

「なぜつり合うのか」

「どちら側にどんな力がかかっているのか」

を理解することです。

理科の計算は、算数の計算問題とは少し違います。

自然現象を数字を使って説明している。

ここを理解できるようになると、理科の見え方が変わってきます。

5年生の秋に怖いのは「分からないまま進む」こと

5年生の秋以降は、塾の授業もどんどん進みます。

一つの単元につまずいても、翌週には次の単元が始まります。

すると、

授業では何となく分かった。

宿題も答えを見ながら終わらせた。

テストでは取れなかった。

でも、次の単元が始まった。

そんな状態になりやすくなります。

一つひとつは小さな「分からない」でも、それが積み重なると、

「理科は苦手」

という意識に変わっていきます。

これが一番避けたいところです。

苦手意識ができると、問題を見ただけで「無理」と思うようになります。

そうなる前に、分からなかったところへ戻ることが大切です。

「解説を読んだら分かった」で終わらせない

理科の計算問題で特に注意したいのが、

「解説を読んだら分かった」

です。

これは、まだ解けるようになったとは限りません。

解説には、必要な数字が整理され、式が書かれ、考え方まで説明されています。

それを読めば、「なるほど」と思うのは当然です。

大切なのは、そのあとです。

もう一度、自分だけで問題を見たときに、

「まず何を考えるのか」

「どの数字を使うのか」

「なぜこの式になるのか」

を説明できるか。

そして、自分でもう一度解けるか。

「分かった」と「できる」は違います。

5年生のうちに、この違いに気づけると強いと思います。

正解した問題にも「たまたま」がある

反対に、正解していれば安心とも限りません。

数字を公式に当てはめたら答えが出た。

似た問題を直前に解いていたからできた。

選択肢から何となく選んだら当たった。

これもあります。

だから理科では、正解・不正解だけを見るのではなく、

「どうしてそうなるの?」

と自分に問い直してみることが大切です。

自分の言葉で説明できるなら、かなり理解できています。

説明できなければ、正解していても少し戻って確認する。

この習慣は、6年生になって問題が複雑になったときに生きてきます。

5年生の秋は「戻れる」時期でもある

ここまで読むと、

「もう5年生の秋なのに大丈夫だろうか」

と思うかもしれません。

でも、私はむしろ逆だと思っています。

5年生の秋だからこそ、まだ戻れます。

6年生になると、入試問題や過去問を意識した学習が増えます。

複数の単元を組み合わせた問題も増えていきます。

その前の5年生なら、一つの単元に戻って、

「ここが分からなかった」

と確認する時間をまだ取りやすい。

テストで点数が取れなかったこと自体を、必要以上に問題視する必要はありません。

大切なのは、そこで終わらせないことです。

親が理科の先生になる必要はない

子どもが理科で苦戦していると、家庭で教えたくなることもあるでしょう。

しかし、親がすべて解説する必要はありません。

むしろ身につけたいのは、

分からなかったときに、自分でどうするか。

テキストに戻る。

授業のノートを確認する。

解説を読む。

もう一度解いてみる。

それでも分からなければ先生に質問する。

こうした行動を、子ども自身ができるようになることの方が大切です。

親が横について毎回教えれば、その日の問題は解けるかもしれません。

でも、6年生になれば学習量はさらに増えます。

いつまでも親がすべてを見ることはできません。

親は学習の状況を理解する。でも、実際に学ぶのは子ども自身です。

5年生の秋は、その形へ少しずつ移っていく時期でもあります。

理科を苦手にしない分かれ道は「点数」ではない

5年生の秋のテストで、理科の点数が下がることはあります。

だからといって、

「理科が苦手になった」

と決める必要はありません。

むしろ見てほしいのは、その後です。

間違えた問題を放置するのか。

分からないところまで戻るのか。

公式だけ覚えるのか。

なぜそうなるのかまで考えるのか。

先生に質問できるのか。

もう一度、自分で解いてみるのか。

私は、こちらの方がずっと大切だと思っています。

理科を苦手にしない分かれ道は、5年生の秋の点数ではありません。

分からない問題に出会ったときに、どう向き合うか。

その学び方を身につけられるかどうかです。

まとめ

小学5年生の秋から、中学受験の理科は少しずつ表情を変えていきます。

知識を覚えるだけではなく、

計算する。

条件を整理する。

図やグラフを読む。

知識を組み合わせる。

そして、「なぜそうなるのか」を考える。

だから、この時期に点数が下がる子がいても不思議ではありません。

大切なのは、そこで「理科が苦手」と決めてしまわないことです。

分からなければ戻る。

解説を読んだら、自分でもう一度やる。

正解していても、理由を説明できるか確かめる。

そして、必要なら自分から質問する。

5年生の秋は、理科を苦手にする時期ではなく、理科の学び方を変える時期。

ここで身につけた学び方は、6年生の理科だけでなく、その先の学習にもつながっていくと思います。

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