模試の結果が気になる。
苦手単元が残っている。
塾の宿題も増えてくる。
夏期講習までに、少しでも立て直したい。
6月から夏前にかけて、保護者の不安は大きくなります。
その不安から、つい強い言葉が出ることもあるでしょう。
「まだやっていないの?」
「このままで大丈夫?」
「もっと危機感を持ちなさい」
子どもを責めたいわけではありません。
少しでも早く動いてほしい。
夏を無駄にしてほしくない。
そう思っているからこその言葉です。
しかし、親にとっては確認や励ましでも、子どもには責められているように届くことがあります。
問題は、言葉が厳しいことだけではありません。
その言葉を聞いても、子どもが次に何をすればよいのか分からないことです。
夏前に必要なのは、親の不安をそのまま伝えることではありません。
子どもが動ける形まで、課題を具体的にすることです。
【言ってはいけない言葉1:「まだやっていないの?」】
宿題。
模試の直し。
漢字や計算。
理科や社会の暗記。
夏前には、やるべきことが多くなります。
そのため、手をつけていない課題を見ると、
「まだやっていないの?」
と言いたくなります。
しかし、この言葉を聞いても、子どもには何を優先すればよいのか分かりません。
親の頭の中では、すべてが大切に見えています。
子どもから見ると、
「あれも残っている」
「これも終わっていない」
と責められているように感じます。
その結果、何から始めればよいか分からず、さらに動けなくなることがあります。
言い換えるなら、
「今日やることを二つに絞ろう」
と伝えます。
親が先に課題を絞り、その中で、
「算数と理科なら、どちらから始める?」
と小さな選択肢を渡します。
未完了を責めるより、今から始める一つを決める方が、行動につながります。
【言ってはいけない言葉2:「このままで大丈夫?」】
保護者が、
「このままで大丈夫?」
と聞くのは、今の学習状況に不安を感じているからです。
しかし、子どもが、
「大丈夫」
と答えても、親は安心できません。
「大丈夫じゃない」
と答えても、次に何をすればよいかまでは決まりません。
つまり、この言葉は質問の形をしていますが、親の不安を伝えるだけになりやすいのです。
必要なのは、不安の原因を具体的にすることです。
算数のどの単元が不安なのか。
正答率の高い問題を落としているのか。
暗記が不足しているのか。
模試の直しが残っているのか。
そこまで分けると、やることが見えてきます。
言い換えるなら、
「夏前に戻す単元を二つに絞ろう」
「模試の中で、次に取れそうな問題から見よう」
と伝えます。
「大丈夫かどうか」を子どもに判断させるのではなく、親が課題を小さく分けることが大切です。
【言ってはいけない言葉3:「もっと危機感を持ちなさい」】
受験までの時間は限られています。
親から見ると、
「もっと焦ってほしい」
「今のままでは間に合わない」
と感じることもあるでしょう。
しかし、危機感は具体的な行動ではありません。
何をするのか。
どこから始めるのか。
どこまでやるのか。
そこが決まっていないまま焦らされても、子どもは動けません。
それどころか、不安や恐怖で動かそうとすると、勉強の目的が変わることがあります。
理解するためではなく、怒られないために終わらせる。
答えを写す。
丸つけだけ済ませる。
直しをした形だけ整える。
これでは、勉強時間が増えても、学習の質は上がりません。
言い換えるなら、
「今日は、間違えた原因を一つだけ確認しよう」
と伝えます。
危機感を求めるより、今日の行動を一つ決める方が効果的です。
【言ってはいけない言葉4:「何回言えば分かるの?」】
同じミスが続くと、親も疲れます。
「前にも言ったのに」
「また同じところで間違えている」
そう感じるのは自然なことです。
ただし、
「何回言えば分かるの?」
では、次に何を変えればよいのか分かりません。
同じ間違いに見えても、原因はさまざまです。
- 知識を覚えていなかった
- 問題文の条件を読み落とした
- 計算途中で間違えた
- 解き方を十分に理解していなかった
- 時間が足りず、見直しができなかった
原因が違えば、対策も変わります。
知識不足なら覚え直す。
読み落としなら、条件に線を引く。
計算ミスなら、途中式や見直しの手順を変える。
言い換えるなら、
「今回は、知識不足・読み違い・計算ミスのどれだった?」
「次に防ぐために、何を変える?」
と聞きます。
ミスを責めるより、原因を一つに絞る方が次につながります。
【言ってはいけない言葉5:「みんなはもっとやっているよ」】
周囲の子が頑張っている姿を見ると、不安になることがあります。
同じ志望校を目指す子が、長時間勉強している。
塾の友達がクラスを上げた。
周囲との差が広がっているように見える。
その不安から、
「みんなはもっとやっているよ」
と言いたくなることもあるでしょう。
ただし、周囲と比べても、わが子が次に何をすればよいかは分かりません。
勉強が進まない原因は、量が足りないからとは限りません。
計算が遅いのか。
暗記のやり方が合っていないのか。
宿題量が多すぎるのか。
間違い直しの方法が分かっていないのか。
疲れて集中できていないのか。
見るべきなのは、周囲の勉強量ではなく、わが子が止まっている場所です。
言い換えるなら、
「今週は、正答率の高い問題を落とさないことを優先しよう」
「量を増やす前に、復習のやり方を見直そう」
と伝えます。
比較するより、今の課題を具体的にする方が、子どもは動きやすくなります。
【言葉を変える前に、親が課題を絞る】
声かけを変えるとは、やさしい言葉へ置き換えることだけではありません。
親が先に、何を優先するかを決めることです。
夏前には、課題を次のように分けます。
- 今日取り組むこと
- 今週優先すること
- 夏期講習に回すこと
- 塾へ相談すること
- 今はやらないこと
すべてを同じ重さで子どもへ渡す必要はありません。
「今日はこれだけ」
「これは先生に聞こう」
「これは夏期講習に回そう」
「これは今はやらなくてよい」
と区切ります。
終わりが見えると、子どもも動きやすくなります。
一方で、親の不安が整理されていないと、
「あれもやった?」
「これも残っているよ」
「それだけで大丈夫?」
と、言葉が増えていきます。
子どもへの言葉を変えるためには、まず親の中で課題を減らす必要があります。
【まとめ】
中学受験の夏前は、保護者の不安が大きくなる時期です。
しかし、次のような言葉をかけても、子どもが何をすればよいかは見えません。
- 「まだやっていないの?」
- 「このままで大丈夫?」
- 「もっと危機感を持ちなさい」
- 「何回言えば分かるの?」
- 「みんなはもっとやっているよ」
夏前に避けたいのは、親の不安だけが伝わり、次の行動が見えない言葉です。
声かけを変えるとは、ただやさしく言い換えることではありません。
何をするのか。
どこまでやるのか。
何を後回しにするのか。
そこを親が整理し、子どもが動ける形にして渡すことです。
子どものやる気を支えるのは、強い言葉ではありません。
今日できる大きさまで、具体的に分けられた課題です。
カテゴリ:夏期講習
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