小学6年生の夏休み後半|過去問を始める前に確認したいこと

小学6年生の夏休み後半になると、いよいよ志望校の過去問が気になり始めます。

「そろそろ過去問を始めた方がいいですか?」

「まだ習っていない単元があるのですが、解いても大丈夫ですか?」

「全然点数が取れなかったら、志望校を変えた方がいいのでしょうか?」

初めて過去問に取り組む時期には、子どもだけでなく保護者にも不安があります。

ここで、最初に知っておいてほしいことがあります。

最初の過去問では、点数がまったく取れないこともある。

まずは、そう心得ておきましょう。

過去問は、これまで受けてきた塾のテストとは性質が違います。

初めて取り組んだ過去問の点数だけを見て、「この学校は無理だ」と判断する必要はありません。

むしろ過去問を始める目的は、最初から合格点を取ることではなく、入試ではどのように点を取れば合格できるのかを知ることにあります。

これまでのテストと入試問題はまったく違う

小学6年生になるまで、子どもたちはさまざまなテストを受けてきました。

塾の確認テスト、組分けテスト、公開模試などです。

もちろん難しい問題も出題されます。

しかし、多くのテストにはある程度の範囲があります。

今週習った単元、今月学習した内容、前期までに学習した範囲など、何を勉強しておけばよいのかがある程度見えています。

問題も、基本問題から応用問題へと難易度を意識して構成されていることが少なくありません。

ところが、入試問題は違います。

算数なら、最初から思考力を必要とする問題が出るかもしれません。

国語なら、これまで読んだことのない文章をその場で読み解かなければなりません。

理科や社会も、複数の単元を組み合わせた問題が出ることがあります。

どこから何が飛んでくるのか分からない。

少し大げさに言えば、中学入試は「ゲリラ戦」のようなものです。

今までのように、

「この単元を勉強したから、この単元のテストを受ける」

という世界ではありません。

何が出てくるか分からない状況で、自分が持っている知識や考え方を使い、その場で対応する力が求められます。

初めて過去問を解いた子が戸惑うのは当然なのです。

最初の過去問で点数が取れなくても慌てない

初めて志望校の過去問を解かせると、保護者の方が驚くことがあります。

「こんなに取れないの?」

模試ではそれなりの成績だった子でも、志望校の過去問になると点数が大きく下がることがあります。

ここで焦ってはいけません。

まだ過去問に慣れていないだけかもしれません。

時間配分が分からなかった。

難しい問題に時間を使いすぎた。

問題の取捨選択ができなかった。

記述問題をどこまで書けばよいのか分からなかった。

学校独特の出題形式に戸惑った。

さまざまな理由が考えられます。

つまり、最初の点数には、純粋な学力だけではなく**「入試問題への不慣れ」**も含まれています。

だから最初から合格点を取る必要はありません。

過去問を解いて、

「こういう問題が出る学校なんだ」

「この大問は後回しにした方がよさそうだ」

「国語の記述に時間がかかる」

「算数は全部解こうとすると時間が足りない」

と分かること自体が、大切な学習です。

過去問は「できなかった問題の数」だけを見ない

過去問を解いたあと、間違えた問題をすべて解き直そうとする家庭があります。

もちろん復習は必要です。

ただし、入試問題では「すべての問題を解けるようにする」という発想をいったん外した方がよいでしょう。

入試は満点を取るための試験ではありません。

合格するために必要な点数を取る試験です。

非常に難しい問題を一問解けるようにすることより、受験者の多くが正解する問題を確実に取れるようにする方が、合格に近づく場合があります。

過去問を解いたあとは、

「なぜ間違えたのか」

だけではなく、

「この問題は、本番で取るべき問題だったのか」

という視点でも見てください。

知識不足だったのか。

計算ミスだったのか。

時間が足りなかったのか。

そもそも現段階では解けなくてもよい難問だったのか。

同じ0点でも、中身はまったく違います。

まず目指すのは「受験科目合計の合格者最低点」

過去問を始めると、どうしても科目ごとの点数が気になります。

「算数が40点しかなかった」

「国語が半分しか取れていない」

しかし、最初から一科目ずつ合格ラインを超えようと考える必要はありません。

まず確認したいのは、志望校が公表している受験科目合計の合格者最低点です。

中学入試は、基本的には総合点で合否が決まります。

算数が得意な子もいれば、国語で点を稼ぐ子もいます。

理科・社会が安定している子もいます。

全員が同じ得点配分で合格するわけではありません。

だから、過去問演習でも最初の大きな目標は、

「受験科目を合計して、合格者最低点に届くこと」

と考えます。

たとえば4科目入試なら、一科目だけを見るのではなく、4科目を合わせて考えます。

算数で少し失敗しても、国語や理社で補えることがあります。

逆に得意科目で大きく取れれば、苦手科目の不足を補うこともできます。

これが「合格点の取り方」を考えるということです。

得意科目は「合格者平均」を目標にする

合計点を見ると同時に、科目ごとの役割も考えていきます。

まず得意科目です。

得意科目については、ひとつの目安として合格者平均点を目指します。

得意科目は、合格を引き寄せる武器です。

「得意だから満点を取らなければいけない」

という意味ではありません。

難問にこだわって時間を使いすぎる必要もありません。

合格した受験生が取っている水準を、安定して取れるようにする。

その方が大切です。

そして過去問を何年分か解いていくと、

「この学校の算数とは相性がよい」

「国語なら比較的安定して取れる」

といったことも見えてきます。

得意科目は、ただ好きな科目ではありません。

入試本番で合格点を支える科目に育てる。

その意識を持って過去問を見ていきましょう。

苦手科目は「受験者平均」を目標にする

一方、苦手科目で最初から合格者平均を目指す必要はありません。

苦手科目については、まず受験者平均点をひとつの目安にします。

ここは保護者にとっても大切な考え方です。

苦手な算数を何とか得意科目と同じ点数まで上げよう。

国語が苦手だから、国語だけを徹底的にやろう。

そう考えると、限られた受験勉強の時間を一科目に使いすぎることがあります。

苦手科目に必要なのは、大逆転ではなく大崩れしないことです。

受験者の平均程度まで取る。

そして得意科目で合格者平均を狙う。

最終的に合計点で合格者最低点を超える。

この発想を持つと、過去問の見方が変わります。

「全部できなければいけない」

ではなく、

「自分はどの科目で何点取れば合格できるのか」

を考えられるようになります。

過去問で身につけたいのは「捨てる力」でもある

入試というゲリラ戦では、全部の問題と正面から戦う必要はありません。

むしろ重要なのは、

解く問題と、いったん捨てる問題を判断すること

です。

難しい問題に10分使って結局解けず、そのために後ろの基本問題を落としてしまう。

これは入試では非常にもったいない失点です。

過去問を始めたばかりの頃は、子ども自身も「どの問題が難しいのか」が分からないことがあります。

だから演習後には、点数だけでなく問題の使い方を振り返ります。

「ここは先に取れたね」

「この問題は後回しでよかったね」

「ここで時間を使いすぎたね」

こうした振り返りを重ねることで、少しずつ入試の戦い方を覚えていきます。

過去問演習とは、知識を確認するだけの勉強ではありません。

制限時間の中で、自分の持っている力をどう点数に変えるかを練習する時間でもあるのです。

一回の点数で志望校を判断しない

最初の過去問で点数が取れないと、

「この学校は難しすぎるのでは」

と不安になるかもしれません。

しかし、一回の結果だけで志望校を判断するのは早すぎます。

見るべきなのは、その後の変化です。

初回は時間配分ができなかった。

二回目は最後まで問題を見ることができた。

最初は難問に引っかかっていた。

次は飛ばせるようになった。

知識不足だった単元を復習したら、同じ種類の問題が取れるようになった。

こうした変化が積み重なって、点数になっていきます。

最初の過去問は、合否判定というより現在地の確認です。

今の自分と志望校との間に何が足りないのか。

それを見つけられれば、最初の点数が低くても過去問を解いた意味は十分にあります。

保護者は点数を見て慌てない

過去問を始める時期に、実は一番気をつけたいのが保護者の反応です。

子どもが初めて第一志望校の問題を解いて、想像以上に低い点数を取った。

そこで、

「これじゃ受からないよ」

「夏休み、何をやっていたの?」

「この点数で本当に大丈夫?」

と言われたら、子どもは過去問を「自分の実力不足を突きつけられるもの」と感じてしまいます。

そうではありません。

初めて敵陣に入ったのですから、最初からうまく戦えなくて当然です。

まずは、

「この学校はこういう問題を出すんだね」

「どこなら取れそうだった?」

「次にやるなら、何を変えられそう?」

と一緒に見ていきましょう。

過去問は、親が子どもの点数を評価する材料ではありません。

親子で志望校までの距離を測る材料です。

過去問を始める前に確認したいこと

小学6年生の夏休み後半に過去問を始めるなら、次のことを親子で共有しておくとよいでしょう。

  • 最初は点数が取れなくても当然
  • 今までの範囲のあるテストと入試問題は違う
  • 一回の点数だけで志望校を判断しない
  • まず受験科目合計で合格者最低点を目指す
  • 得意科目は合格者平均点を目標にする
  • 苦手科目は受験者平均点を目標にする
  • 全問正解ではなく、取るべき問題を取る
  • 解いたあとは点数だけでなく時間配分や問題選択も振り返る

ただし、学校によって公表されている入試データは異なります。

合格者最低点や科目別平均点などが公表されていない学校もあります。

その場合は、学校が公開している入試結果や塾の資料など、確認できる範囲の情報を使って目標を考えてください。

まとめ

小学6年生の夏休み後半。

いよいよ過去問を始める時期になると、どうしても最初の点数が気になります。

しかし、最初は点数がまったく取れないものと心得ておきましょう。

これまでの学習は、範囲があり、ある程度順序立てて難しくなっていく世界でした。

入試は違います。

どこから何が飛んでくるか分からない、いわばゲリラ戦です。

だからこそ過去問を使って、志望校の問題に慣れ、自分なりの戦い方を作っていきます。

目標は、すべての科目で高得点を取ることではありません。

まずは受験科目合計で合格者最低点を目指す。

そのうえで、

得意科目は合格者平均点を目指す。

苦手科目は受験者平均点を目指す。

そして、自分の得意・不得意を組み合わせながら合格点を作っていく。

過去問は、合格できるかどうかを一回で判定するものではありません。

「この学校に合格するために、自分はどう点を取るのか」を学ぶ教材です。

最初の点数に一喜一憂せず、秋以降の学習につながる材料として使っていきましょう。

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