夏休みが始まる前に、親子で学習スケジュールを作った。
朝は計算と漢字。
午前中に算数と国語。
午後は夏期講習。
夜は宿題と復習。
予定表だけを見れば、無理なく進みそうに思えます。
ところが、夏休みが始まって数日たつと、少しずつずれ始めます。
朝、予定どおりに起きられない。
一つの課題に思った以上の時間がかかる。
夏期講習の宿題が予想より多い。
学校の宿題にも手をつけられていない。
初週が終わるころには、予定表に未完成の課題が並びます。
保護者も、
「まだ始まったばかりなのに、もう崩れている」
と焦ります。
しかし、初週で予定が崩れること自体は、珍しいことではありません。
夏休み前に作った予定は、実際の課題量や子どもの疲れ方が分からない状態で作った、仮の計画だからです。
大切なのは、元の予定へ無理に戻すことではありません。
初週に見えてきた現実をもとに、続けられる形へ変えることです。
【崩れたのは、子どもではなく予定かもしれない】
予定どおりに進まないと、
「やる気が足りない」
「時間の使い方が悪い」
と、子どもの姿勢に原因を求めたくなります。
もちろん、動画を長く見ていたり、始めるまでに時間がかかったりすることもあるでしょう。
ただし、予定そのものに無理がある場合も少なくありません。
一時間で終わると思っていた宿題に、実際は二時間かかった。
夏期講習から帰ると、思っていた以上に疲れていた。
毎日できると思っていた追加教材まで手が回らなかった。
予定は、実際に動いてみなければ分からないことがあります。
初週のずれは、計画の失敗ではありません。
その子が一日に使える時間と、課題に必要な時間が見えてきたということです。
まずは、できなかった子どもを責めるのではなく、予定の方に無理がなかったかを見直します。
【できなかった課題を、そのまま積み上げない】
予定が崩れた家庭で起こりやすいのが、未完成の課題を翌日へそのまま移すことです。
月曜日にできなかった算数を火曜日へ回す。
火曜日に終わらなかった国語も水曜日へ加える。
すると、日に日に予定が重くなります。
子どもは朝から、
「昨日の分もやらなければならない」
という状態で始めることになります。
これでは、遅れを取り戻す前に動けなくなります。
未完成の課題は、次の三つに分けます。
①必ず残すもの
次の授業や提出に必要な課題です。
- 次回授業までの塾の宿題
- 提出期限のある学校の宿題
- 授業で理解できなかった問題の直し
- 毎日続けたい計算や漢字
②後回しにするもの
必要ではあるものの、今週中でなくてもよい課題です。
- 急がない学校課題
- 一度理解できている単元の復習
- 期限に余裕のある読書や調べ学習
③今回は外すもの
計画には入れていたものの、今の優先順位では低い課題です。
- 追加で買った問題集
- 発展問題
- 得意科目の先取り
- 今週やらなくても大きな影響のない教材
できなかったものを全部保存しておくと、計画は軽くなりません。
立て直すためには、何を別の日へ移すかよりも、何をもう入れないかを決める必要があります。
【最も大きな詰まりを一つ探す】
計画が崩れた理由を、
「全部うまくいかなかった」
とまとめると、どこを直せばよいか分かりません。
まずは、最も影響の大きかった原因を一つ探します。
- 朝の開始が遅かった
- 一つの問題に時間をかけすぎた
- 夏期講習の宿題量を少なく見積もっていた
- 休憩が長くなった
- 教材を入れすぎていた
- 講習後に重い課題を置いていた
たとえば、朝九時から勉強する予定なのに、毎日十時近くになっていたとします。
この場合、開始時刻を九時から八時半へ早めるだけでは、同じことが起こります。
朝食後に何をするか決まっていなかった。
最初の課題が重すぎた。
教材を探すところから始めていた。
こうした、始めるまでの流れに原因があるかもしれません。
計画全体を作り直す前に、最も大きな詰まりを一つ外す。
その方が、時間割を細かく書き直すより効果があります。
【時間ではなく、頭が動く時間で組み直す】
夏休みは、一日が長く見えます。
予定表にも、空いている時間が多くあるように見えます。
しかし、机に座れる時間と、考える力が残っている時間は同じではありません。
夏期講習が終わったあと、帰宅してから二時間空いていても、二時間分の学習ができるとは限りません。
授業で長く集中したあと。
移動を終えたあと。
暑さや疲れが残っているとき。
子どもは机には座れても、難しい問題を考える力が残っていないことがあります。
初週に実際に動けた時間を見ます。
さらに、その時間帯にどの程度の課題なら取り組めたかを確認します。
- 午前中なら算数の直しができた
- 講習後は計算や漢字なら進められた
- 夜は復習を一問するだけで精いっぱいだった
- 休講日は学校の宿題を進められた
こうした事実をもとに、課題を置き直します。
重い課題は、頭が動く時間へ置く。
疲れている時間には、基礎課題や確認作業を置く。
それでも初週に家庭学習が一日二時間しか回らなかったなら、まずは二時間を上限にします。
理想の学習時間から考えるのではありません。
実際に集中して取り組めた時間から考えることが大切です。
【予定には予備時間を残す】
予定が遅れたときほど、空いている時間をすべて勉強で埋めたくなります。
しかし、余白のない計画は、一つ予定がずれただけで再び崩れます。
夏期講習の終了が遅くなる。
宿題に思った以上の時間がかかる。
疲れて休憩が長くなる。
家庭の予定が入る。
こうしたことは、夏休み中に必ず起こります。
そのため、一日の中に何も入れない時間を残します。
予備時間は、できなかった課題をすべて埋め直すための時間ではありません。
必要なときだけ使う。
疲れていれば休む。
予定どおり進んでいれば自由時間にする。
最初から余白を置いておくことで、一つのずれが一日全体へ広がりにくくなります。
【振り返りは、感想ではなく事実を見る】
予定を立て直すとき、親子で話し合うことは大切です。
ただし、
「何が嫌だった?」
「どの教科を減らしたい?」
と聞くだけでは、好き嫌いの話になりやすくなります。
子どもは苦手な算数を減らしたいと言い、保護者は算数こそ必要だと考える。
これでは、予定の立て直しではなく、意見のぶつかり合いになります。
そこで、初週に実際に起きたことを見ます。
- 予定の倍の時間がかかった課題は何だったか
- 夜まで残った課題は何だったか
- 空欄のまま終わった教材はどれだったか
- どの時間帯なら集中できたか
- 翌朝まで疲れが残ったのは、どの日だったか
ノートやテキスト、予定表を見ながら確認します。
たとえば、
「算数が嫌だった」
ではなく、
「算数の宿題に予定の倍の時間がかかり、国語まで進めなかった」
と捉えます。
すると、
- 算数の問題数を絞る
- 難問は印をつけて質問へ回す
- 算数を午前中へ移す
といった具体的な修正ができます。
親が新しい予定を一方的に完成させるのではなく、初週の事実を一緒に確認しながら、翌週に残すものを決めます。
大切なのは、きれいな予定表を作ることではありません。
子どもが実際に動ける量へ調整することです。
【まとめ】
夏休みの学習スケジュールが初週で崩れても、元の予定へ無理に戻す必要はありません。
初週は、子どもが実際に使える時間や、課題に必要な時間、疲れ方を知る期間でもあります。
立て直すときは、
- 未完成の課題を、そのまま翌日へ積み上げない
- 必ず残すものと、外すものを分ける
- 最も大きな詰まりを一つ探す
- 頭が動く時間に、合った重さの課題を置く
- 初週に実際にできた量を基準にする
- 予定に余白を残す
ことが大切です。
予定を立て直すとは、時間割をきれいに作り直すことではありません。
現実に合わなかった課題を外し、必要な学習だけを、続けられる量に整えることです。
初週で崩れたことは、夏休み全体の失敗ではありません。
むしろ、無理な部分が早く見えたということです。
その気づきをもとに予定を修正できれば、夏休みの学習はまだ十分に立て直せます。
カテゴリー:夏期講習・家庭学習
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